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「犬」が太ると散歩できない!? 肥満のリスク&体重管理のコツとは ペット栄養管理士が解説

犬の体重を適切に管理する方法について、ペット栄養管理士に聞きました。

犬の肥満のリスクとは?(画像はイメージ)
犬の肥満のリスクとは?(画像はイメージ)

 犬を飼っている人の中には、「飼い犬の体重が増えた」「犬の体形がぽっちゃりしている」という人もいるのではないでしょうか。犬が肥満になった場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。犬の体重を適切に管理する方法について、ペット栄養管理士の岩井ゆかりさんに聞きました。

体重増加で関節に負担

Q.そもそも、犬にも肥満かどうかを判断する際の基準はあるのでしょうか。

岩井さん「はい、『BCS(ボディ・コンディション・スコア)』と呼ばれる犬の肥満度に関する基準があります。これは、犬の腰部などを触り、皮下脂肪の付着状態で肥満度を判定するものです。一般的には5段階評価方法と9段階評価方法がありますが、環境省は一般の飼い主向けに5段階の『犬のボディ・コンディション・スコア』を示しています。

犬のボディ・コンディション・スコアは、犬の真上と真横から見た肋骨、腰のくびれ、腹部の肉付き、触った感触で犬の肥満度を評価します。評価は『BCS1(痩せ)』『BCS2(やや痩せ)』『BCS3(理想的)』『BCS4(やや肥満)』『BCS5(肥満)』です。それほど難しい内容ではないので、ぜひ愛犬の肥満度をチェックしてみてください。

ここで注意してほしいのは、純血種における肥満度です。例えば、血統書など犬の戸籍を管理する一般社団法人ジャパンケネルクラブでは、犬種のおおよその体重を示したスタンダード(犬種標準体形)を設けています。しかし、実際には同じ犬種であっても、その個体の持つ骨格など、生まれつきの大きさが体重と比例することが大半です。そのため、無理に犬種標準に合わせる必要はなく、ボディ・コンディション・スコアを参考に、犬の肥満傾向を確かめる方が実用的です」

Q.犬が肥満になる原因について、教えてください。

岩井さん「犬の肥満は主に『原発性肥満』(単純性肥満)と『二次性肥満』の2パターンに分けられます。成犬で健康な犬が肥満になる原因は、原発性肥満です。これは摂取カロリーの過多であり、食べ過ぎによるものが多いでしょう。食事の量に加え、オヤツの量を見直す必要があります。もしオヤツをあげ過ぎてしまった場合は当日の夕食を控えめにしたり、カロリーの低いオヤツに代えたりするなど、質や量を調整してみてください。

次に、二次性肥満について簡単に説明します。犬の二次性肥満とは、何らかの疾患があり、症状の一つとして肥満を引き起こす症状のことを指します。二次性肥満は疾患や代謝機能の異常が関係するため、獣医師の指導に従って、正しい治療を行うことが大切です」

Q.犬の肥満を放置した場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。

岩井さん「健康な成犬の場合、肥満を放置すると、次のような病気にかかりやすくなります」

・関節炎などの関節疾患
・呼吸器・循環器疾患
・高血圧
・膵炎(すいえん)

具体的には「息苦しさが続く」「バテやすくなる」「散歩に行きたくなくなる」などの症状が見られます。肥満のコントロールは飼い主ができるケースがほとんどなので、犬が肥満体形の場合、まずは食生活を見直す必要があります。肥満体形のまま、無理に散歩などでダイエットを促すと四肢への負担が大きいため、やめてください。ある程度、体重を落としてから運動をさせてください。

Q.犬の肥満を改善する方法について、教えてください。例えば、食事量を減らすコツはあるのでしょうか。

岩井さん「犬の肥満を改善する方法として、メインとなってくるのは日々の食事量です。ドッグフードならパッケージを見て、適正量を目分量ではなく『計量』してから与えることが大事です。スコップ型の計量器なども発売されており、使い勝手の良いものを上手に取り入れてみましょう。

早食いのため満足感を得られず肥満気味になる犬には、器を見直してみるのもおすすめです。例えば、ペットショップや通販サイトでは、さまざまな形状の早食い防止食器が売られています。底が凹凸になっているなど、複雑なつくりなので、食べる速度が自然と遅くなり、内臓への負担を減らします。また、餌をゆっくり食べることで満足感が得られ、体形のコントロールに役立ちます。

さまざまな病気の原因となる肥満を予防できるのは飼い主だけです。愛犬を肥満にさせないよう、日々の生活の中で調整し、元気な成犬期を過ごしたいですね」

(オトナンサー編集部)

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岩井ゆかり(いわい・ゆかり)

ペット栄養管理士、ウェディング専門ペットシッター銀座INPET代表

日本初のウェディング専門ペットシッター「銀座INPET(インペット)」代表。ペット業界で培った20年あまりの経験を生かし、人とペットの豊かな共生に向けて情報発信をしている。著書に「育犬ノイローゼかな?と思ったら読む本~しつけの悩みを解消して子犬との楽しい日々を取り戻すコツ~」などがある。保有資格は猫行動アナリスト、JKC公認訓練士、JKC公認トリマーA級、ペット栄養管理士。銀座INPET公式サイト(https://inpet.staba.jp/)。インスタグラム(https://www.instagram.com/inpet_wedding_/)。

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