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もし「道路陥没」で住宅損壊、断水が起きたら…賠償請求は可能? 弁護士に聞いた“対応策”

もしも道路の陥没が発生したときに住宅の損壊や断水、停電などが発生し、何らかの損害を受けたり、生活に支障が出たりした場合、自治体や水道事業者などに賠償を請求できるのでしょうか。弁護士が解説します。

埼玉県八潮市の県道交差点で道路が陥没した現場付近(2月4日、時事通信フォト)
埼玉県八潮市の県道交差点で道路が陥没した現場付近(2月4日、時事通信フォト)

 埼玉県八潮市の県道交差点で1月28日、道路が陥没し、走行中の大型トラック1台が地中に転落する事故が発生しました。陥没した道路の下には下水道管が通っていて、陥没は下水道管の破損が原因とみられています。

 この陥没事故の影響で、埼玉県は地盤が崩落する危険があるとして、現場付近の住宅の住民に対し、避難を要請しました。また、同県は現場に流れ込む下水の量を減らすため、県東部の12市町の約120万人に対して節水を呼び掛けるなど、多くの人の日常生活に支障が出ています。

 もしも道路の陥没が発生したときに住宅の損壊や断水、停電などが発生し、何らかの損害を受けたり、生活に支障が出たりした場合、自治体や水道事業者などに賠償を請求できるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の弁護士・佐藤みのりさんが解説します。

事故原因や損害の範囲の検討が必要

 まず、今回の埼玉県八潮市の道路陥没事故では、現場に流れ込む下水の量を減らすため、同県の大野元裕知事が県東部の12市町の約120万人に対して節水を呼び掛けました。ただ、あくまで自主的な協力を求めているものであり、誰に対しても、節水による何らかの法的責任を追及することはできないでしょう。

 もし道路の陥没事故が発生し、現場周辺の建物の損壊や断水、停電などが起きた場合、その原因が誰にあるのかによって、法的責任を追及できる相手が変わると考えられます。例えば、下水道管などの水道施設の管理を漫然と放置していたことにより、老朽化が原因で道路が陥没するとともに、断水してしまったというようなケースが発生した場合、水道事業者の法的責任が認められる可能性があります。

 水道事業者は、「災害その他正当な理由があってやむを得ない場合」には給水を停止することができるとされていますが(水道法15条2項ただし書き)、正当な理由が認められない限り、断水すれば債務不履行になり、損害賠償責任を負うと考えられます。

 道路の陥没がきっかけで建物の損壊や断水、停電などが起こり、何らかの損害が生じた場合には、損害発生の直接的な原因がどこにあるのか、損害の範囲はどこまでなのかなど、ケースに応じてさまざまな検討が必要になります。

 そのため、道路の陥没事故が原因で何らかの被害に遭い、法的責任を追及したい場合は、弁護士に相談する必要があるでしょう。実際に、損害賠償請求が認められるかどうかはケースによりますが、請求相手などを検討した上で、賠償請求することは可能です。

 道路陥没に関する賠償請求の事案を紹介します。過去にはバイクで市道を移動していた人が、道路上に開いていた大きな穴にはまって転倒し、けがをしたとして、市に対し損害賠償を請求した事案があります。

 この事案では、主に過失割合が争われました。裁判所は、道路の状況や天候などさまざまな事情を考慮し、バイクの運転手が道路の陥没を発見し、回避することは比較的容易であったと評価。そして、穴を回避しなかった運転手側の過失を4割としました。一方、市に対する損害賠償請求は認められました(京都地方裁判所2019年1月30日判決)

(オトナンサー編集部)

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佐藤みのり(さとう・みのり)

弁護士

神奈川県出身。中学時代、友人の非行がきっかけで、少年事件に携わりたいとの思いから弁護士を志す。2012年3月、慶応義塾大学大学院法務研究科修了後、同年9月に司法試験に合格。2015年5月、佐藤みのり法律事務所開設。少年非行、いじめ、児童虐待に関する活動に参加し、いじめに関する第三者委員やいじめ防止授業の講師、日本弁護士連合会(日弁連)主催の小中高校生向け社会科見学講師を務めるなど、現代の子どもと触れ合いながら、子どもの問題に積極的に取り組む。弁護士活動の傍ら、ニュース番組の取材協力、執筆活動など幅広く活動。女子中高生の性の問題、学校現場で起こるさまざまな問題などにコメントしている。

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