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ウサギ30羽を“遺棄”? SNS「許せない」の声に弁護士「犯罪です」 罰則も詳しく聞いた

山中で約30羽のウサギが保護されたという報道に、SNSでは怒りの声が続出しています。仮に「遺棄」だった場合、罪に問われる可能性はあるのでしょうか。

飼っていたウサギを“遺棄”していたとしたら…(画像はイメージ)
飼っていたウサギを“遺棄”していたとしたら…(画像はイメージ)

 2月27日、神奈川県逗子市の山中で、ウサギ約30羽が保護されたという報道がありました。報道によると、通報者は「ウサギが道路にいた」のを見つけ、その周辺に10羽以上のウサギを確認したとのこと。警察は、何者かがウサギを遺棄したものとみて捜査を進めているということです。

「野ウサギではなく、飼われていたウサギである可能性が高い」との報道もあり、SNSでは「許せない」「無責任」など怒りの声が上がっていますが、もし実際に飼っていたウサギを遺棄した場合、どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

「遺棄」は生命・身体を危険にさらす行為

Q.「ウサギ」を遺棄する行為は「犯罪」にあたるのでしょうか。

佐藤さん「ウサギを遺棄する行為は、動物愛護管理法に違反し、『1年以下の懲役または100万円以下の罰金』に処される可能性があります。

動物愛護管理法は、動物を危険にさらしたり、近隣住民に迷惑をかけたりしないようにするため、愛護動物の遺棄を禁じています(法44条3項)。『愛護動物』とは、(1)牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる(2)その他、人が占有している動物で哺乳類、鳥類または爬虫(はちゅう)類に属するものです(法44条4項)。

『遺棄』とは、愛護動物を場所的に離隔することにより、生命・身体を危険にさらす行為です。例えば、飼われている愛護動物は一般的に、生存のために人間の保護が必要なので、離隔された場所にかかわらず、飢え、疲労、交通事故などにより、生命・身体に対する危険に直面する恐れがあり、遺棄に該当する可能性があるとされています」

Q.今回のケースでは、「約30羽」のウサギが保護されたと報道されていますが、仮に同一人物が約30羽を遺棄していた場合、どのような罪に問われる可能性があると考えられますか。

佐藤さん「1羽であっても、30羽であっても、ウサギを遺棄した場合、先述の動物愛護管理法違反の罪に問われる可能性があります。

遺棄した動物の数が多くなれば、それだけ生命・身体を危険にさらされる動物が増え、近隣への迷惑や生態系への影響も大きくなるため、量刑が重くなるでしょう」

Q.ウサギの他に、遺棄する行為が犯罪となる動物は。

佐藤さん「先述した牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひるは、飼い主がいるかどうかにかかわらず、遺棄すると犯罪になります。その他、飼われている哺乳類、鳥類、爬虫類は全て、遺棄すれば犯罪になります。

動物の飼い主は、正しい知識と愛情を持って動物と向き合うとともに、最後まで責任を持って飼い続ける必要があります」

(オトナンサー編集部)

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佐藤みのり(さとう・みのり)

弁護士

神奈川県出身。中学時代、友人の非行がきっかけで、少年事件に携わりたいとの思いから弁護士を志す。2012年3月、慶応義塾大学大学院法務研究科修了後、同年9月に司法試験に合格。2015年5月、佐藤みのり法律事務所開設。少年非行、いじめ、児童虐待に関する活動に参加し、いじめに関する第三者委員やいじめ防止授業の講師、日本弁護士連合会(日弁連)主催の小中高校生向け社会科見学講師を務めるなど、現代の子どもと触れ合いながら、子どもの問題に積極的に取り組む。弁護士活動の傍ら、ニュース番組の取材協力、執筆活動など幅広く活動。女子中高生の性の問題、学校現場で起こるさまざまな問題などにコメントしている。

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