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【包丁】どんな野菜が切りにくくなったら、研げばいいの? 貝印が教えるベストタイミング

包丁を研ぐのに適切なタイミングについて、貝印の担当者に聞きました。

包丁を研ぐのに適切なタイミングは?(貝印のホームページより抜粋)
包丁を研ぐのに適切なタイミングは?(貝印のホームページより抜粋)

 調理のときに包丁を使っていて気になるのが、包丁を研ぐタイミングです。市販の砥石(といし)やシャープナーを使って定期的に研ぐ人もいれば、研がずに使い続ける人もいるようです。

 包丁はどのようなときに研いだらよいのでしょうか。研がずに使い続けた場合、どのようなデメリットが生じる可能性があるのでしょうか。包丁を研ぐときの注意点などについて、貝印(東京都千代田区)マーケティング本部 マイスター推進部 シニアエキスパートの林泰彦さんに聞きました。

「トマト」「長ネギ」「タマネギ」の切りやすさで判断

Q.そもそも、包丁を研がずに使い続けた場合、どのようなデメリットが生じる可能性があるのでしょうか。どんなときに研いだらよいのでしょうか。

林さん「一般的に、包丁は食材を切ったときに生じる摩擦のほか、トントンとまな板に当てたときの衝撃で大きなダメージを受けるといわれています。それによって、歯の先端が変形したり、つぶれたり、摩耗したりするため、徐々に切れ味が悪くなっていきます。包丁を研がないまま使い続けると、肉や魚、野菜をきれいに切ることができません。

当社は以前、ベンチャー企業と合同で、切れ味が落ちた包丁で食材を切ると、味にどのような変化が生じるのかを味覚センサーを使って調査しました。例えば、新品の包丁で切ったピーマンと、1カ月以上研がずに使い続けた包丁で切ったピーマンを比べたところ、研がずに使い続けた包丁で切ったピーマンは、苦みや酸味が強くなるという結果が出ました。

包丁を研がずに使い続けると、食材をうまく切ることができないだけでなく、味にも影響を与える可能性があることが分かります」

Q.では、どのようなときに包丁を研いだらよいのでしょうか。例えば、「月に1回」という形で、定期的に研ぐ日を決めた方がよいのでしょうか。

林さん「包丁を研ぐタイミングは、使用頻度や使用方法などによって異なるため、『月に1回』などと、具体的な頻度を挙げるのは難しいです。ただ、目安としては、以前よりもトマトや長ネギ、タマネギを切りにくくなったと感じたときに研ぐのがよいと思います。例えば、次のようなケースです」

・トマトを切ろうとしたときに刃を入れにくい。トマトを切ったときにつぶれてしまう。
・長ネギを切った後、持ち上げてみたときに部分的につながっている。
・タマネギを切ったときに、目がしみるようになった。

これらの症状が出ていたら”重症”と思っていただいた方が良いかもしれません。

ご存じだとは思いますが、タマネギを切ったときに目がしみるのは、タマネギに含まれている成分が原因です。切れ味がよい包丁であれば、タマネギをきれいに断ち切ることができるため、調理の際に成分が放出されることはあまりありません。一方、切れ味が悪くなった包丁で切ると、タマネギの繊維を押しつぶしてしまうため、成分が出てしまいます。

Q.包丁を研ぐときは、砥石とシャープナーのどちらを使うのが望ましいのでしょうか。

林さん「シャープナーは簡単に研げるのがメリットですが、構造上、長期間使い続けた場合、最適な研ぎ方でなくなってしまう場合も考えられます。そのため、シャープナーだけで長期間研ぎ続けると、どうしても包丁の刃持ちが悪くなります。同じ包丁を長く使い続けたい場合は、シャープナーと砥石を併用するのをお勧めします」

Q.包丁を小まめに研ぐと、どうなるのでしょうか。

林さん「頻繁に包丁を研ぎ過ぎると製品の寿命が短くなるため、先述のように、切れ味が悪いと思ったタイミングで研ぐのが望ましいです。包丁を研ぐと本来の切れ味が戻りますが、その分、刃先が削れます。そのため、同じ包丁を定期的に研ぎながら使っていると、次第に小さくなっていきます。

包丁を研ぎながら使い続けていると、切れ味の変化に敏感になります。そのため、切れ味が少し鈍っただけでも包丁を研ぎたくなるのが悩みと言えます」

Q.ちなみに、ネット上では「新品の包丁は研いでから使わないといけない」という情報がありますが、本当なのでしょうか。

林さん「貝印製の新品の包丁は、研がずにそのまま使って問題ありません。老舗の包丁店の中には、客の前で包丁を研いでから販売する店があるようです。恐らくその光景を見た人が『包丁は研いでから使用しなければならない』と思ったのではないでしょうか」

Q.製品によって異なるとは思いますが、包丁は何年程度使えるのでしょうか。どのようなときに包丁を買い替えた方がよいのでしょうか。

林さん「使用頻度や使い方、手入れ方法などによって包丁の寿命は大きく変わるため、包丁の使用可能期間についてはお答えするのが難しいです。

包丁にひび割れが生じている場合は、すぐに使用を中止して買い替えてください。そのまま使い続けると、けがをする恐れがあります。欠けがある場合は程度によって直せる場合と直せない場合があるため、メーカーや販売店にご相談いただくのが良いと思います」

(オトナンサー編集部)

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林泰彦(はやし・やすひこ)

包丁マイスター、貝印マーケティング本部 マイスター推進部所属

2010年に入社。1年の契約社員として、「関孫六」ブランドの刃物を中心としたKAIブランドの商品を展開し、専門知識を備えたスタッフが常駐する「kai shop」の一号店のスタッフとして採用。その後、包丁など刃物に関する知識や研ぎの技能が認められ、正社員に。現在は「マイスター制度」に携わるとともに、国内はもとより海外でも包丁研ぎのセミナーやデモンストレーションに登壇。自社公式YouTube「貝印の切れ味チャンネル」に出演し、包丁研ぎをレクチャーするなど、包丁研ぎ界の巨匠として活躍中。貝印の切れ味チャンネル(https://www.youtube.com/@kireaji-channel/videos)。

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