ネットの俗説「乳酸菌飲料は逆さ保存がよい」は本当? “真偽”をヤクルト本社に直撃
乳酸菌飲料は、逆さまの状態で保存しても問題ないのでしょうか。ヤクルト本社に聞きました。

乳酸菌飲料は、普段どのような方法で保存していますか。ネット上では、「乳酸菌飲料は、逆さまの状態で保存するのがよい」という内容の情報が複数あり、実践している人もいるようです。
乳酸菌飲料は、逆さまにした状態で保存してもよいのでしょうか。乳酸菌飲料「ヤクルト」などの製造、販売を手掛けるヤクルト本社(東京都港区)広報室の担当者に聞きました。
保存時に液漏れする可能性
Q.そもそも、ヤクルト製品の適切な保存方法について、教えてください。冷蔵庫で保存する際は、ドアポケットに置いてもよいのでしょうか。
担当者「当社は、乳酸菌飲料『ヤクルト』などの乳製品について、10度以下の場所での保存をお願いしています。冷蔵庫のドアポケット付近は、温度が常に10度以下に保たれていると考えられるため、ヤクルト製品を置いていただいて構いません。
ただし、扉の開け閉めが多かったり、開けっ放しの時間が長かったりすると、ドアポケット部分の温度が上がりやすいため、ヤクルト製品に限らず、食品を保存する際は気を付けた方がよいでしょう」
Q.乳酸菌飲料は、よく振ってから飲むべきだといわれていますが、なぜなのでしょうか。
担当者「乳酸菌飲料は、時間の経過とともに、乳成分の一つである『無脂乳固形分』が容器の底に沈殿するからです。無脂乳固形分はたんぱく質や糖質、カルシウムといった無機質のほか、ビタミン類など、体にとって大切な栄養素を含んでいます。底にたまった無脂乳固形分を摂取するため、飲む前はよく振ってください」
Q.ネット上では、乳酸菌飲料を逆さまにした状態で保存するよう勧める情報が複数あります。ヤクルト製品を逆さまの状態で保存しても問題ないのでしょうか。
担当者「ヤクルトの内容液は、逆さまの状態で保存しても、品質に影響が生じることはありません。しかし、容器は、逆さまの状態での保存を想定して設計しているわけではありません。保存時にアルミキャップが破損して液漏れの原因につながりかねないため、当社は逆さまの状態での保存はお勧めしていません」
Q.賞味期限が切れたヤクルト製品は、飲んだり食べたりしても問題ないのでしょうか。
担当者「賞味期限が切れた製品につきましては、品質を保証できないため、当社としては、お召し上がりいただくことをお勧めできません」
Q.ヤクルト製品を常温で保存した場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。
担当者「先述の通り、当社の乳製品については、10度以下の場所での保存をお願いしています。そのため、常温で長時間保存された製品に関しては、飲食をお勧めできません。
なぜなら、生きた乳酸菌やビフィズス菌を含む乳製品の場合、人肌程度の温度になると菌が活発になり、乳酸などを産生し、味が酸っぱくなると同時に、生きた菌が減少してしまうからです。そのため、ヤクルト製品を電子レンジなどで温めて飲むのもお勧めしません。一方、10度以下で保存すると、賞味期限まで菌数を一定に保つことができます。
ヤクルト製品は、1回で飲み切ったり食べ切ったりできる量に設定しているため、開封後は早めにお召し上がりください。飲み残した製品や食べ残した製品を保存するのは、冷蔵庫内であってもお勧めできません。
ヤクルト製品の商品パッケージに適切な保存方法を記載しています。その方法で保存するよう、お願いいたします」
(オトナンサー編集部)
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