婚活女性「苦痛」とドン引き…お見合いに「家の権利書」「介護施設のパンフレット」 中高年男性の“やらかし”
なぜお見合いのお茶代を男が払う? 男女平等の持論を展開
与田さとえさん(51歳、仮名)は、太田のぼるさん(57歳、同)とのお見合いのため、指定された都内のホテルのラウンジに、待ち合わせ時間の5分前に到着しました。すると、入り口あたりに、のぼるさんと思われる男性が立っていました。
「太田さんですか?」
歩み寄って声をかけると、「はい、そうです」と言った後に、こう続けたのです。
「ここではなくて、場所を変えませんか?」
さとえさんは「なぜだろう」と思いましたが、断る理由もなかったので、「はい、分かりました」と言って、歩き出した太田さんについていきました。
「駅の近くにあったカフェに行きましょう」
そこは、飲み物を買って席に着くタイプのカフェのようでした。そして、そこに向かう道すがら、太田さんはこんなことを言ったのです。
「僕は結婚相談所に入会したばかりで、お見合いは今日初めてなんですけど、ホテルのラウンジ前にあったメニューを見て、びっくりしてしまいましたよ。コーヒー1杯が1500円もする! 仲人に、『お見合いのお茶代は、男性が払ってください』と言われたんですが、仲人は、何であんな高い場所でお見合いを組んだのか」
さらに、こんな持論を繰り広げたのです。
「お見合いのお茶代を男が払うというのは、おかしな決まりですよね。付き合うことになった女性になら、お茶もご飯も喜んでごちそうするけれど、まだ付き合うかどうか分からない者同士なのに、何で男が払わないといけないのかな」
その言葉を聞いているうちに、さとえさんはだんだんと腹立たしい気持ちになり、これからカフェでお見合いすることすら嫌になってしまいました。ただ、お見合いをせずにここで帰るわけにはいきません。そこで、こう言いました。
「私のお茶は、自分で買うので大丈夫ですよ。おっしゃる通り、まだ付き合うかどうか分からない女性のお茶代を払うのは、男性も負担ですよね」
そして、心の中では「私は、あなたと付き合いませんしね」と言ったそうです。
駅近くのカフェで自分のアイスティーを買い、30分もたたないうちにお見合いを切り上げて帰ってきました。当然、結果は「お断り」です。
シニアのお見合いに大切なこと
20代、30代の婚活なら、定年後の自分の生活や親の介護は、はるか先のこと。考えも及ばないでしょう。ところが、50代、60代になってくると、「定年後の自分」「老いた親との向き合い方」は、現実的な問題となってきます。
そこからは目を背けられないのですが、お見合いの席では、まずは自分を知ってもらう、相手のことを知ろうとする、楽しい会話を心掛けた方がいいと思います。今、どんな仕事をしているのか。休日は何をしているのか、趣味は何なのか…など。
結婚してからの話をするにしても、「これだけ預金があります」「持ち家があります」「親の介護はさせません」と言いながら、「その証拠がこれです」と言わんばかりに預金通帳や家の権利書、介護施設のパンフレットを見せるのは、生々し過ぎて、相手の女性はドン引きしてしまいます。
また、男女平等の世の中なのに、お見合いのお茶代を男性が持つというのは、確かにおかしい話なのかもしれません。男性の主張も分かります。ただ、それを口に出して、目の前の女性に対して言ったときに、その言葉がどんなふうに受け取られるのか。その想像力が大事ですよね。
(仲人・ライター 鎌田れい)
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