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苦労して書いたレポートの表紙が差し替えられ“他人のもの”に…不正者の法的責任は?

苦労して書いた大学のレポートの表紙が差し替えられ、他人のレポートとして提出されていたら…。その結果、単位を落として留年してしまったら…。大学での、こうした悪質な不正行為に法的問題はないのでしょうか。

苦労して書いたレポートが“他人のもの”になっていたら…
苦労して書いたレポートが“他人のもの”になっていたら…

 大学の「レポート」に関するトラブルが先日、SNS上などで話題になりました。他人のレポートを、氏名などが書かれた表紙部分だけを差し替えて提出する不正があり、犯人は不正を認め、処分を受けたとのこと。しかし、本来の提出者が特定できないといい、SNS上では「悪質すぎる」「カンニングと違って、被害者側に明らかな損害がある」「立派な窃盗行為」などの声が上がっています。こうした行為にはどのような法的問題があるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

単位取得は「財産上の利益」にあたらない

Q.他人のレポートの表紙を差し替え、自分のものとして提出する行為にはどんな法的問題がありますか。

牧野さん「教授をだまして単位を取得しようとしたのですから、法的には、詐欺の未遂罪にあたるかどうかが問題となります。しかし、一般に大学での『単位の取得』は『財産上の利益』には該当しないと解されますので、詐欺未遂罪の成立は難しいでしょう。ただ、提出されたレポートが他学生から盗んだものであることが証明できれば、窃盗罪に問うことは可能です。窃盗罪で有罪判決が下された場合は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金刑に処されます」

Q.もしも、表紙を差し替えられた被害者が単位不認定や留年となった場合、何らかの法的手段に訴えることはできるのでしょうか。

牧野さん「被害者が、単位が認定されずに留年となり、1年分余計に授業料を支払った、あるいは1年間の就職の機会を失い、想定されていた給与が受け取れなかったなど具体的な損害が発生したことを証明できれば、不正行為者に対して、損害賠償を請求することができます(民法709条の不法行為)」

(ライフスタイルチーム)

牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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