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“最低限の給与”すら払えない会社が「副業禁止」を言う資格はない…投稿が話題に、副業はできる?

「副業禁止」の会社に勤める人が「最低限の給与すら払えない企業が副業禁止なんて言う資格はない」と投稿したところ、「どんどん副業しよう」などとSNS上で議論に。副業は法的に認められるのでしょうか。

給料が低いことを理由に副業はできる?

 SNS上で先日「副業禁止」の会社に関する投稿をきっかけとして議論が行われました。投稿者が「『副業なんてしなくてもいいくらいに金払うから、ウチの会社の仕事に専念してくれ!』と頭を下げるのが筋」「家と車を持ち、子供二人を大卒まで育てられる程度の“最低限の給与”すら払えない企業が『副業禁止』なんて言う資格はない」と訴えると、「ほんまこれ。どんどん副業しよう」「副業うんぬんより、そんなに給料が低い会社なら転職すればいいじゃん」「そもそも会社が明確に『副業禁止』って言っていいもんなの」など、さまざまな声が上がりました。

“最低限の給与”がもらえないことを理由に副業をすることは法的に可能なのでしょうか。オトナンサー編集部では、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

副業禁止は服務規程で定められている

Q.副業禁止の会社に勤務する人が、最低限の給与すらもらえないことを理由に副業をすることは可能なのでしょうか。

牧野さん「『副業禁止』は本業に支障が出ないようにと、会社の服務規程で定められているものです。そのため『最低限の給与すらもらえない』からと言って、本業に支障が出るような負担の重い副業に従事したり、副業禁止規定に違反したりすることはできません。本業に支障が生じる、あるいは副業禁止規定に違反する場合、会社から懲戒処分をされる可能性があるでしょう。なお、公務員には『職務専念義務』が定められており(国家公務員法101条、地方公務員法35条)、営利企業などに従事することは禁止されています(国家公務員法103条、地方公務員法38条)。国家公務員の場合には、営利企業などの役員、顧問、評議員の職を兼ねること、または自ら営利企業を営むことが禁止されており(国家公務員法103条)、これに違反すると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります(国家公務員法109条13号)」

Q.規定がなければ副業をしてもオーケーということですか。

牧野さん「会社は原則的に、副業を全面的に禁止することはできません。就業時間以外の自由な時間は私生活の部分であり、何に使おうと自由だからです。しかし、以下のケースのように本業に支障が生じる場合、副業禁止規定がなくても解雇などの懲戒処分や損害賠償請求を受ける可能性もあります。裁判所は副業を行うことによる本業における業務遂行への影響の有無を基準として判断するのです。(1)副業のせいで本業の就業時間に遅刻や欠勤など影響が出ている場合(2)本業と副業の総労働時間が労働基準法を超える場合(3)競合他社での勤務など会社に損害を与える恐れがある場合(4)自社の営業秘密漏えいの可能性がある場合(5)企業イメージを損なう恐れがある違法な仕事(風俗など)をした場合、などです」

(オトナンサー編集部)

牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。