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算数の“途中式”をいちいち消す子ども…その理由は「余計な式があると×だから」、実際のところは?

算数の問題を解く時に「途中式」をいちいち消している子どもに理由を聞くと、「余計な式が残ってたら不正解」と答えた――。こうした趣旨の投稿が話題となりました。実際の教育現場はどうなっているのでしょうか。

算数の「途中式」は残す? 消す?

 小学生時代、「10×2+3」という計算をする際に、「10×2+3=20+3=23」のように「途中式(ここでは20+3)」を消さずにそのまま残していた、という人が多いかもしれません。しかし、SNS上で先日「子供が小学校支給の算数の問題集を解いていて、途中のメモの式を消しゴムでいちいち消すという妙な癖がついて」いたという趣旨の投稿が話題となりました。

 投稿者が子どもにその理由を聞くと「余計な式が残ってたら×にされるから」と答えたとのこと。「いったい、どういう指導をしているのだろう」「途中式残してなかったら、検算もできないのに」と疑問を投げかけたところ「うちの子もまったく同じことをしてます」「むしろ積極的に残すように指導してほしい」「途中式で部分点出せるのにね」など、さまざまな反応が見られました。

解答への思考過程を表す貴重な情報

 実際の教育現場はどうなっているのでしょうか。学習塾「栄光ゼミナール」で小学校低学年を担当する佐藤理恵先生は次のように話します。

「あくまで一般論ですが、指導の場(教師の監督下での学習指導)では途中式を残すように教えています。途中式や計算は、問いから解答に至る思考過程を表す貴重な情報なのです」

 途中式を残すことで、正解に至らなかった場合にどこでつまずいているのか、どこに課題があるのかを本人も先生も判別しやすくなります。課題点が明らかになれば対策が取りやすくなるほか、中には誤答でも面白い着想をする生徒もいるため、正解に至るプロセスへ誘導するだけでなく、考え方の幅を広げる貴重な機会になることもあるそうです。

「ただし、その場面が『教師から教授を受けている場』なのか『入学試験を受けている場』なのかで、途中式や計算過程の扱いも変わる可能性があります。試験の場合、できるだけ高得点を取ろうとするならば、出題者側の意図を最大限くみ取る必要があります。『解答のみを所定の欄に答えよ』という条件で解答以外の記載をすると正解にはなりません。このように、知識やスキル以外の『ルール』を学ぶ必要もあるのです」

 ちなみに佐藤先生によると、これまでに、学校で途中式を消すように言われた生徒さんに出会ったことはないそうです。

(オトナンサー編集部)

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