同志? はたまた、ライバル? 2人の絆が光ったバディードラマ5選
田幸和歌子さんが選ぶ「テレビドラマ●選」。今回のテーマは「絆が光ったバディードラマ5選」です。
![織田裕二さん(2018年12月、時事)、水谷豊さん(2019年5月、同)、反町隆史さん](https://otonanswer.jp/wp-content/uploads/2021/10/211010_oda_01-360x218.jpg)
「○○年代を代表するラブストーリー」「△△役がハマる俳優」など、テレビドラマにまつわるさまざまなテーマについて、テレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子さんが「●選」の形式で紹介、解説します。
今回のテーマは「絆が光ったバディードラマ5選」です。
“バディー”の概念を取り入れた「噂の刑事トミーとマツ」
■「噂の刑事トミーとマツ」(1979~1982年、TBS系)
強い正義感を持つ一方、人一倍臆病者の岡野富夫(国広富之さん)と、江戸っ子気質で猪突(ちょとつ)猛進型の松山進(松崎しげるさん)の、外見も性格も対照的な2人の刑事が衝突しながらも協力して、事件を解決まで導いていく姿を描いた物語。
「今ではすっかり定番となった“バディー”の概念を海外から取り入れ、当時は新しい作りのドラマでした」(田幸さん)
「刑事ドラマでありながら、明るくて、殉職する人もいない作品で、今の時代では描けないような描写もある面白い内容でした。見た目も正反対で、当初はギクシャクしていたという国広さんと松崎さんでしたが、作品が進むにつれて、次第にどんどん仲よくなったというエピソードもあり、それがドラマにも反映されていて、2人のリアルな掛け合いが見どころでもあります」
■「振り返れば奴がいる」(1993年、フジテレビ系)
腕は超一流であるものの、冷酷で自分勝手な司馬江太郎(織田裕二さん)と、患者をいたわり、誠意ある治療を信条にする石川玄(石黒賢さん)が事あるごとに衝突を繰り返し、対立する、2人の医師の姿を描いた物語。
「バディーものとして描かれているわけではありませんが、個人的にイチオシの作品です」
「作中でさまざまな衝突を繰り返してきた2人でしたが、中でも、病に侵された石川を救うため、ライバルであった司馬が手術を行う姿に、ほんのつかの間ですが絆が生まれたような気がします。石川の存在によって、自分の信念が揺らぐような司馬の変化があった中、最終回での悲しい展開を含め、ある意味“バディー”の物語として、こんなに胸が熱くなるものはありませんでした」
■「踊る大捜査線」(1997~2012年、フジテレビ系)
脱サラして、念願の警察官になった主人公・青島俊作(織田裕二さん)を中心に、事件を追うだけでなく、警察署内の人間模様や階級社会で生きる刑事たちの日常をリアル、かつユーモアに描いた物語。
「1つのバディーだけでなく、実はいろんなパターンのバディーが見られる作品でもあります」
「青島と室井(柳葉敏郎さん)の絆はもちろん、青島×真下(ユースケ・サンタマリアさん)の兄貴と弟分的な関係や、青島×和久(いかりや長介さん)の先輩後輩、また、和久の言葉が室井にすごく響いている場面も見られるなど、作中で、さまざまな組み合わせのバディーが見られるのが特徴。このように複数のバディーが登場するのは、昨年放送されたドラマ『MIU404』(TBS系)でも見ることができました」
どのシリーズが好き? 「相棒」
■「相棒」(2000~2021年、テレビ朝日系)
変人ながら、優秀なキャリアの警視庁「特命係」に所属している係長・杉下右京(水谷豊さん)が自身の下についた相棒と共に、卓越した推理力と洞察力を駆使して、数々の難事件を解き明かしていく姿を描いた物語。
「バディーを描いたドラマとして、真っ先に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか」
「これまで、寺脇康文さん、及川光博さん、成宮寛貴さん、反町隆史さんを相棒に迎え、それぞれの水谷さんとの関係性や、タイプの異なる組み合わせなど、どのシーズンの『相棒』が好きか、人によって分かれるはずです。水谷さんを主演に据えながらも、その相棒の“大河ドラマ”であるかのような感じもあり、その変遷を見ていくのも面白いのではないでしょうか」
■「野ブタ。をプロデュース」(2005年、日本テレビ系)
私立隅田川高校に通うクラスの人気者・桐谷修二(亀梨和也さん)が、転校してきたいじめられっ子・小谷信子(堀北真希さん)、通称「野ブタ」を、クラスメートの草野彰(山下智久さん)と共に人気者にプロデュースしていく姿を描いた物語。
「バディーの物語ではありませんが、同じ目的を持つ2人をバディーという視点で捉えて、推薦したい作品です」
「野ブタが関わるまではそこまで仲よくなかった修二と彰でしたが、同じ目的を持って行動することで2人の関係性も近づいていき、次第にバディーになっていく面白さが注目の一つ。野ブタも含め、人とつるむのが苦手で、どこか孤独な共通点を持つ3人が作り上げていく絆が印象的です」
(オトナンサー編集部)
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