記者、翻訳家、フリーター…吉高由里子が“ハマり役”だったドラマ5選
田幸和歌子さんが選ぶ「テレビドラマ●選」。今回のテーマは「吉高由里子がハマり役だったドラマ5選」です。
「○○年代を代表するラブストーリー」「△△役がハマる俳優」など、テレビドラマにまつわるさまざまなテーマについて、テレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子さんが「●選」の形式で紹介、解説します。
今回のテーマは「吉高由里子がハマり役だったドラマ5選」です。
光の象徴として抜群の存在感
■「わたし、定時で帰ります。」(2019年、TBS系)
過去にあるトラウマを抱え、以来、「必ず定時で帰る」というモットーを貫く主人公・東山結衣(吉高さん)が、くせ者ぞろいのブラック上司や同僚たちの間で奮闘しながら、さまざまなトラブルを解決していく姿を描いた物語。
「作品全体のバランサーでもあり、役どころも難しい立場だったにもかかわらず、吉高さんのうまさが際立った作品でした」(田幸さん)
「登場人物が皆、それぞれの世代や立場によって、プライオリティーやワークライフバランスの違いが繊細に描かれていた作品。中でも吉高さんは、後輩にとっての理解者でもあり、上司との板挟みの立場という姿が頼もしい主人公を演じ、シリアスな場面もあった中、作品が暗くなりすぎない仕上がりになったのは、吉高さんの存在があったからでしょう」
■「知らなくていいコト」(2020年、日本テレビ系)
数々のスクープを世間に送り出す週刊誌「週刊イースト」の記者・真壁ケイト(吉高さん)が、急死した母が残した遺品を手掛かりに、自身の出生の謎と父の秘密に迫る姿を描いたヒューマンドラマ。
「気が強く、モラルギリギリで仕事中毒に近いようなキャラクターを演じ、物語が進むにつれて、吉高さん自身のいろんな面が見られた作品です」
「週刊誌のリアルな世界が描かれ、タイトルにもつながるような、シリアスな展開の連続だった同作。吉高さんの仕事人間としてバリバリ働く姿だけでなく、自身のルーツをたどっていく中で、父の存在や恋愛に悩む姿など、人間としての苦悩がうまく表現されていて、かなり本格的な芝居を見ることができました」
■「花子とアン」(2014年、NHK総合)
「赤毛のアン」の翻訳者・村岡花子さんの半生を原案とし、山梨の貧しい家に生まれたヒロイン・安東はな(吉高さん)が震災や戦争を乗り越えて、翻訳家の道へ進んだ、明治から昭和にかけての波乱万丈の半生記を描いた物語。
「吉高さん本人にとって、女優としてのターニングポイントとなった作品ではないでしょうか」
「女性のサクセスストーリーを描いているように見えますが、後に不倫や戦争の場面があったり、姉妹との関わりや政略結婚なども含め、光と陰の対比が強く描かれている作品です。そんな中で、吉高さんの持つ明るいオーラが、陰の上に存在する光の象徴として抜群の存在感を放ち、作品全体がうまく表現されているように思えるのです」
絶妙な柔らかさや見やすさをもたらす女優
■「東京タラレバ娘」(2017・2020年、日本テレビ系)
「キレイになったら、もっといい男が現れる!」「好きになれれば、結婚できる!!」と、タラレバ言いながら女子会ばかりやっている、30歳、独身、彼氏ナシの売れない脚本家・鎌田倫子(吉高さん)と親友の香(栄倉奈々さん)、小雪(大島優子さん)の3人が、人生にもがきながらも幸せを探して突き進む姿を描いた物語。
「タラレバだらけの3人の掛け合いが見てるだけで楽しい雰囲気でしたが、ただ楽しいだけではなく、女性の本音の部分が所々に描かれているのもポイント」
「一見、明るく楽しくコミカルな感じの作品ですが、吉高さん演じる主人公の心の声が深く、共感する人も多くいたはずです。これまでも仕事モノを多く演じた吉高さんですが、外れがなく、深いドラマを描く上でシリアスになりすぎず、絶妙な柔らかさや見やすさをもたらしてくれる女優だと感じています」
■「白い春」(2009年、関西テレビ・フジテレビ系)
殺人の罪で刑務所に収監されていた元暴力団組員・佐倉春男(阿部寛さん)が、自分の娘とは知らずに出会った少女・村上さち(大橋のぞみさん)との交流を通して、不器用ながらも娘を愛する“究極の親子愛”を描いたヒューマンドラマ。
「阿部さんの周りで動き回るフリーター役を演じていましたが、作品の中でもすごく印象的な存在でした」
「殺人が絡んだりと暗く、シリアスになりかねない作品でしたが、吉高さんの存在が明るさや笑いを加え、人を振り回したり、どんな人なのかが見えにくいキャラクターは後の『危険なビーナス』で演じた役柄の原型となったような気も。当時はまだ若く、ギャルっぽい感じも垣間見えましたが、改めて見返してみると、この頃から、芝居のうまさは際立っていました」
(オトナンサー編集部)
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