波瑠、戸田恵梨香、二階堂ふみ…今期ドラマを席巻する「朝ドラ」ヒロイン女優たち
波瑠さん、戸田恵梨香さん、永野芽郁さん、比嘉愛未さん、二階堂ふみさん…朝ドラでヒロインを務めた女優たちが、今クールの連続ドラマで主演を務めています。

東京五輪開催により、休止などイレギュラーな放送が続いていた今クールの連続ドラマ。各局が通常通りの放送スケジュールに戻りつつある中、各ドラマのキャストを見渡すと、NHK連続テレビ小説、通称「朝ドラ」でヒロインを務めた女優の起用が目立ちます。
波瑠さん、戸田恵梨香さん、永野芽郁さん、比嘉愛未さん、二階堂ふみさんら、朝ドラでヒロインを務めた女優たちが今クール、主演で多く起用されている背景について、テレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子さんに聞きました。
最強に近いバランスの持ち主、波瑠
フジテレビ系連続ドラマ「ナイト・ドクター」(毎週月曜 後9:00)で、主人公の医師・朝倉美月を演じている波瑠さん。幕末から明治と、まだ女性が表舞台に出ることが少なかった激動の時代に奮闘する実業家の姿を描いた朝ドラ「あさが来た」(2015年度後期)で、ヒロイン・白岡あさ役を務めました。
「おてんばな性格のヒロインが自らの力で道を切り開いていく王道パターンの物語で、『あさが来た』が一番好きな朝ドラと挙げる人も多くいる人気作でした」(田幸さん)
「波瑠さんについては、りりしさとかわいらしさの両面を持ち合わせている女優ではないでしょうか。男女問わず、高い支持があって、最強に近いバランスの持ち主であると思うのと同時に、さまざまなキャラクターがハマりやすく、うそのない正直な方だという印象を受けます」
日本テレビ系連続ドラマ「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(毎週水曜 後10:00)で、交番に異動してきた元エース刑事・藤聖子を演じている戸田恵梨香さん。モノを作り出す情熱と喜びを糧に、失敗や挫折にめげず生きていく女性陶芸家の姿を描いた朝ドラ「スカーレット」(2019年度後期)で、ヒロイン・川原喜美子役を務めました。
「戸田さんのイメージといえばストイック。『スカーレット』での徹底した役作りも、そのストイックさが表れているように感じました」
「戸田さんにはどこか哀愁を感じ、人生の悲喜劇を表現することがうまい女優だと思います。特に、ムロツヨシさんとの共演が話題になった『大恋愛』での、笑いながら涙を流すシーンは大絶賛され、同作での演技を経て、ワンランク上の女優になったという印象を受けました」
同じく、「ハコヅメ」で戸田さんとダブル主演を務め、ひよっこの新人警察官・川合麻依を演じているのが永野芽郁さん。病気による左耳の失聴を乗り越え、やがて、一大発明を成し遂げるまでの女性の物語を描いた朝ドラ「半分、青い。」(2018年度前期)で、ヒロイン・楡野鈴愛役を務めました。
「『半分、青い。』の内容は賛否両論こそありましたが、作中で旦那さんに向かっていく姿など、ドラマとは思えない迫力の永野さんの演技力は、誰しもが認めざるを得ないほど際立っていました」
「朝ドラのイメージは少なからずあるはずなのに、それがデメリットになっていないのは永野さんの特徴の一つ。『ハコヅメ』での天然ドジっ子なキャラクターを魅力的に演じていますが、人によっては、わざとらしく嫌味になってしまう危険もあるだけに、永野さんの演技力はさすがの一言です」
圧倒的な存在感の二階堂ふみ
フジテレビ系連続ドラマ「推しの王子様」(毎週木曜 後10:00)で、乙女ゲームを手掛けるベンチャー企業の社長・日高泉美を演じている比嘉愛未さん。実家のケーキ屋でパティシエの見習いをしていたものの、後に、婚約者の生家である老舗旅館に飛び込み、おかみ修業をしながら成長する女性の姿を描いた朝ドラ「どんど晴れ」(2007年度前期)で、ヒロイン・浅倉夏美役を務めました。
「テレビドラマ初出演で朝ドラヒロインを務めた比嘉さん。当時はまだ、朝ドラヒロインが新人の登竜門的な役割を果たしていた中での抜てきでした」
「比嘉さんについては、ドラマ『コード・ブルー』で真面目な優等生的ポジションを演じたことで、いろいろな表現ができる女優だと認識するようになりました。今作の『推しの王子様』は代打起用という難しさもあり、相当な覚悟を持って引き受けたかと思いますが、女性同士の掛け合いのシーンがすごく魅力的に見えて、新たな一面を発見することにもなりました」
TBS系連続ドラマ「プロミス・シンデレラ」(毎週火曜 後10:00)で、人生崖っぷちのアラサー女子・桂木早梅を演じている二階堂ふみさん。名作曲家・古関裕而と妻・金子をモデルに、激動の昭和時代を音楽と共に生きる夫婦の物語を描いた朝ドラ「エール」(2020年度前期)で、ヒロイン・関内音役を務めました。
「『エール』で夫役を務めた窪田さんとのバランスが絶妙でした。妻として支えるだけでなく、共に歩んでいくというヒロインの姿は朝ドラの新たな描き方だったのではないでしょうか」
「映画『ヒミズ』での圧倒的な存在感が印象的だったこともあり、映画をメインにやっていくのではないかと思っていた二階堂さんが、今作のようなラブコメに出ることは驚きでもあり、いい意味で貪欲さも感じました。吸い込まれそうな大きな目と意志の強さで、二階堂さんが出るだけで雰囲気ががらりと変わるような力を持っている女優だと思います」
いつもながら田幸氏の説明は抽象的で分かりにくい。