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冠番組も “ユニット”としての乃木坂46・4期生はグループに何をもたらす?

組織全体のバランス再構築へ

 例えば、グループとしての楽曲パフォーマンスがマスに向けて行われる際、そこには常に、選抜・アンダーという枠組みが随伴します。組織内における選別のありようを可視化し、各人をそのいずれかの立場に二分して位置付けているこの制度は、必然的に苦味や葛藤を伴う悩ましい側面を抱えつつ、なお、グループの絶対的な枠組みとして存在しています。

 このとき、期生別のユニットによる対世間的なポピュラリティーの獲得は、それらとは異なるメンバーの見せ方を提示し、既存の固定的な枠組みを幾分相対化して、柔軟にする一例となります。その意味で、4期メンバーの躍進はグループ総体の形への問い返しにもなっています。

 先の「乃木坂46 9th YEAR BIRTHDAY LIVE ~4期生ライブ~」で、既存の選抜メンバー楽曲やアンダーメンバー楽曲を、ユニットとしての4期生が再解釈して披露したパフォーマンスにはそうした新鮮さがありました。

 近年の乃木坂46では個々人レベルの実践において、それぞれの強みを育んでいくメンバーも少なくありません。加えて、楽曲パフォーマンスを行うユニット単位でも、従来の枠組みとは異なる打ち出し方が定着すれば、さらにオルタナティブな活躍の場を見いだすことができます。常時、数十人が所属する規模のグループにとって、メンバーの活躍のための指標やベクトルが多様であることは極めて重要です。

 現在はまだ、新進メンバーの躍動としての印象が強い昨今の4期生の発信力。この活躍が継続した先に期待できるのは、乃木坂46という組織全体のバランスの再構築であるかもしれません。

(ライター 香月孝史)

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香月孝史(かつき・たかし)

ライター

1980年生まれ。ポピュラー文化を中心にライティング・批評やインタビューを手がける。著書に「乃木坂46のドラマトゥルギー 演じる身体/フィクション/静かな成熟」「『アイドル』の読み方 混乱する『語り』を問う」(ともに青弓社)、共著に「社会学用語図鑑 人物と用語でたどる社会学の全体像」(プレジデント社)、執筆媒体に「RealSound」など。

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