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「残業45時間が3カ月で会社都合退職」の事実に「まじかー」、制度の概要とは?

時間外労働の証明に必要な書類は

Q.「会社に監査と指導が入る」のは事実でしょうか。事実である場合、具体的にどのような流れで実施されるのでしょうか。

牧野さん「当局としては、法令違反の就労の事例が複数認知される場合、会社が組織的に法令違反の就労を行わせている恐れがあるため、まずは調査を行って事実関係を確認することが最初のステップになるでしょう。その結果次第では、『会社に監査と指導が入る』こともありえます。ただし、違反が認められない場合もあるので、常に監査と指導が入るとは言えません」

Q.時間外労働に関する上記の要件を満たしていることを証明する上で、タイムカードなど必要になる記録やデータは何でしょうか。

牧野さん「基準を超える時間外労働の事実を証明できる証拠が必要であり、タイムカードの写しや給与明細など時間外労働時間の事実が分かるものを保管しておくべきです。自分のタイムカードをスマホなどで撮影した画像データも有効。タイムカードがない場合は、毎日の出社と退社時間を手帳などにメモしておいてもよいでしょう」

Q.正当な理由なく、「会社都合退職」とすることを拒否されるケースはあるのでしょうか。またその場合、労働者としてはどのような法的措置を取れるのでしょうか。

牧野さん「離職者が、会社都合退職と自己都合退職のいずれに該当するのかは、離職票に記載された離職理由に基づき公共職業安定所(ハローワーク)が判断します。ハローワークは、まずは会社が離職票に記載した離職理由で判断することになりますが、会社と離職者が主張する離職理由に相違がある場合、双方から事情を聞いて判断するので、離職者としては必ず、離職票の『離職理由』は『労働者に係る問題があったと労働者が判断したため』を選び、『具体的事情記入欄(離職者用)』に時間外労働に関する記述を残した上で、時間外労働の証拠文書を提出する必要があります。上記の時間外労働の要件を満たせば、ハローワークが会社都合退職扱いを拒否するケースは原則ありませんが、証明が不十分として認定されないことはあります。その場合、ハローワークの決定について争うことができます」

(オトナンサー編集部)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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