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杉咲花、喜劇「おちょやん」で生かされるコミカルとシリアスの同居

コミカルとシリアスが同居した演技で

 同じように今回の「おちょやん」でも、杉咲さん演じる千代は借金を重ねる父親・テルヲ(トータス松本さん)に対しては複雑な思いが入り交じった表情で語りかけます。第3週~4週にかけて、ドラマは大阪・道頓堀を舞台にしており、基本的にはコントのようなやりとりが展開されるのですが、流れを一気に変えたのがテルヲの登場でした。

 生活のために、自分をたった9歳で奉公に行かせた揚げ句、稼いだお金を全て酒やギャンブルにつぎ込み、今度は借金の代わりに身売りさせようとする父親。千代は奉公先に迷惑をかけまいと一時は身売りを覚悟しますが、道頓堀の人たちが一丸となって逃亡計画を立ててくれたおかげで難を逃れます。

 奉公先で働いているときのはつらつとした笑顔や、テルヲと対峙(たいじ)するときの軽蔑のまなざし、それでも家族に対する思いを拭えず、悲しみにくれた顔。多彩な表情で千代を演じる杉咲さんの演技に、第4週「どこにも行きとうない」で成田凌さん演じる天海一平が語ったある言葉が重なりました。

「笑かすだけが喜劇と違う」。悲しみがあるからこそ笑いの風景がより引き立つ。そんな「おちょやん」で展開される喜劇と、杉咲さんの、コミカルとシリアスが同居した演技が絶妙にマッチしているのではないでしょうか。

(ライター 苫とり子)

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苫とり子(とま・とりこ)

エンタメ系ライター

1995年、岡山県生まれ。東京在住。学生時代に演劇や歌のレッスンを受け、小劇場の舞台に出演。IT企業でOLを務めた後、フリーライターに転身。現在は「Real Sound」「AM(アム)」「Recgame」「アーバンライフメトロ」などに、エンタメ系コラムやインタビュー記事、イベントレポートなどを寄稿している。

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