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小芝風花、金髪ワイルド系→黒髪おどおど系 「転職の魔王様」で実感する“カメレオン俳優ぶり”

連続ドラマ「転職の魔王様」に出演している小芝風花さんの演技の魅力について探ってみました。

小芝風花さん(2023年6月撮影、時事通信フォト)
小芝風花さん(2023年6月撮影、時事通信フォト)

 俳優の小芝風花さんが出演する連続ドラマ「転職の魔王様」(カンテレ・フジテレビ系、毎週月曜午後10時)が放送中です。小芝さんといえば、近年、ドラマの主役やヒロインといったメインキャラクターを演じ、キャリアを着実に重ねています。2023年4月期に放送された連続ドラマ「波よ聞いてくれ」(テレビ朝日系)では金髪のビジュアル、同作の次クールとなる「転職の魔王様」では黒髪のビジュアルと短期間で“変身”した姿を見せてくれています。そこで“俳優・小芝風花”の魅力に迫ってみます。

リアルさがある“おどおど”演技

「転職の魔王様」は、俳優の成田凌さんの主演作。“転職の魔王様”という異名を持つ、毒舌敏腕キャリアアドバイザーの来栖嵐(成田さん)が、荒治療とも言える方法で悩める求職者に働く自身と希望を取り戻させる姿を描いています。小芝さんは来栖に振り回されながら、自分の進路を探すヒロインの未谷千晴(ひつじたに・ちはる)を演じています。

 千晴は、前職でパワハラを受けたのをきっかけに退職。その後、叔母の洋子(石田ゆり子さん)が社長を務める転職エージェンシー「シェパードキャリア」で、キャリアアドバイザーの見習いとして指導係である来栖と共に行動しています。

 パワハラを受ける千晴のことを、第三者目線で見れば「さっさと辞めればいいのに」と思うかもしれません。ですが、真面目な人ほどパワハラ上司の言葉を真に受けて、限界まで頑張ってしまうもの。千晴はやがて耳鳴りを発症し、倒れてしまったのでした。

 会社を退職し、ようやく過酷な環境から解放された千晴。しかし、日常的に苦痛が簡単に癒えるはずもなく、その後も彼女はトラウマと戦っています。印象的だったのは、千晴の表情やしぐさ。他人の顔色を伺うような目線、自信のないおどおどとした態度が彼女の未だ癒えぬ心の傷を物語っていました。千晴は何か強い個性があるわけではない、割とオーソドックスなヒロインですが、キャラ設定やセリフに頼らずにその内面を語る小芝さんの巧みな演技力に多くの人が改めて気づかされたことでしょう。

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苫とり子(とま・とりこ)

エンタメ系ライター

1995年、岡山県生まれ。東京在住。学生時代に演劇や歌のレッスンを受け、小劇場の舞台に出演。IT企業でOLを務めた後、フリーライターに転身。現在は「Real Sound」「AM(アム)」「Recgame」「アーバンライフメトロ」などに、エンタメ系コラムやインタビュー記事、イベントレポートなどを寄稿している。

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