「口腔ケア」は手洗い、マスク、うがいに次ぐ第4の感染予防法 歯科医師の見解
歯垢除去で「バリア―」機能を維持
仮に、これら3つの予防法を突破してウイルスが口腔内に侵入したとします。これらのウイルスは舌や喉で増殖し、いよいよ体内に入り込みます。
ここから先のステージで重要になる“第4の予防法”は、舌に停滞するウイルスや細菌を舌ブラシで除去すること、そして、歯垢(しこう)を徹底的に除去することです。直接的に舌をきれいにすることで、口腔内から体内にウイルスが侵入するのを防ぎます。
では、歯に付着する歯垢を取ることは、虫歯や歯周病の予防の他、ウイルス感染に対しても有効なのでしょうか。
歯垢からは「プロテアーゼ」「ノイラミニダーゼ」という、ウイルス感染に大きな影響を及ぼす2種類の酵素が発生します。プロテアーゼの作用で、ウイルスはより粘膜を通過しやすい状態になり、ノイラミニダーゼの作用で、細胞内で増殖したウイルスが、より周囲の細胞に拡散しやすくなります。
この2種類の酵素で、ウイルスに対するバリアー機能が著しく低下するのです。従って、歯垢を徹底的に除去することは、ウイルス感染に対して有効といえるでしょう。
もちろん、口腔ケアでは歯垢の除去だけでなく、舌の清掃やマッサージによる唾液の分泌促進など、感染予防効果が期待できるさまざまなケアも行います。インフルエンザに関していえば、専門的口腔ケアをした場合、発症リスクが10分の1になることが研究で分かっています。
「新型コロナウイルスはインフルエンザとは違う」という意見もありますが、現時点では世界中のどの国も機関も、正解は持ち合わせていません。そのため、現在行う対策としては、類似の一般的なウイルス感染症の対策を取り入れるのが有効と考えられます。
「手洗い」「マスク着用」「うがい」に加えて、「帰宅時のお口のケア」も実践してみてください。
(文/構成・オトナンサー編集部)
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