今井翼、今後は「偏らずボーダーレスに、まだ見ぬ自分に出会いたい」
映画「プラド美術館 驚異のコレクション」でナレーションの吹き替えを務める今井翼さんに、プラド美術館の魅力や声の仕事の感想を聞きました。
映画「プラド美術館 驚異のコレクション」でナレーションの吹き替えを務める俳優の今井翼さん。同作は2019年に開館200周年を迎えた、世界最高峰の美術館の一つと評されるスペイン・プラド美術館の全貌に迫るドキュメンタリー映画です。
オトナンサー編集部では、今井さんにインタビューを実施。プラド美術館の魅力や声の仕事の感想、表現者として気を付けていることを聞きました。
声で表現する緊張感
Q.プラド美術館の魅力は。
今井「スペインは舞踊においても芸術作品においても、ディープなものが詰まっています。僕はエンターテインメントの立場としてマルチに表現していきますが、その土地にしかない深さや魅力を身に付けると、その後の仕事にも生かせると思っています。
プラド美術館は壮大な世界三大美術館なので、簡単には回りきれません。知識のあるなし関係なく、この美術館にはたくさんの感動があります。僕もそこまで造詣が深い方ではないですが、行くことで知識だけでなく、感覚的に洗練されていきます」
Q.プラド美術館の中で一押しの作品を挙げてください。
今井「ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』という作品です。僕はシュールレアリスムが好きで、展覧会があると行ってしまいます。あとダリが好きで、自宅には所々にダリ作品を飾っていて、生活の一部にしています」
Q.映画の中の美術品や、プラド美術館の見せ方はいかがでしたか。
今井「僕自身の声で表現する緊張感はありました。200年の歴史を持つ美術館のドキュメント映画ですから、ある程度美術品に関心がないとできません。なおかつ、オリジナルのナビゲーターを務めているジェレミー・アイアンズさんの渋さや、これだけ膨大なナレーションを吹き込むのは初めてだったので苦戦していました。でも、声のお仕事に興味があったので充実感がありました」
Q.普段、リフレッシュにしていることはありますか。
今井「食べたいものを食べる、寝たいときに寝る、日を浴びる、旅をする。趣味が料理なので、作りたいと思うものをイメージして、スーパーで食材を選ぶときから楽しみが始まります。和食ベースが好きで、パスタを作るときも和風にしています。旅が好きなので、ホテルを探すときやハイシーズンでは、どこが安くて安全か調べる時間も好きです」
Q.表現者として、生活で気を付けていることを教えてください。
今井「普通でいること、普通を続けることです。車だけでなく電車に乗ることや、高級なお店だけでなく、庶民派のお店でカウンターについて常連さんやお店の人と会話します。こういう考え方の人がいるんだとか、こんなこだわりがあるんだとか、普通を大事にしていれば偏らずにいられるのかなと思っています。
普通に過ごしている方が楽だし、カッコつけなくていいし、ようやくそういう過ごし方ができる年代に近づいてきたと思います」
Q.第10回システィーナ歌舞伎「NOBUNAGA」の舞台で復帰されましたが、復帰された今の心境は。
今井「初日はガチガチに緊張していました。僕らが出ている世界と歌舞伎は全然違う世界で歴史があり、幼少期から鍛錬し続ける『型』があるから短期間で仕上げるわけです。
舞台は新作で、その中に出演することに緊張感がありました。短い期間の中、自分でもいろいろしたつもりでしたが、冒頭から僕の芝居から始まるのでドキドキしていましたね。落ち着くには回数をこなすしかありません。でも、舞台に立てる喜びはそれ以上でした」
Q.今後の仕事の展望は。
今井「偏らずボーダーレスにしていきたいし、でも、僕はこだわる性格なのでそこも大事にしていきたいですね。柔軟性も持っていきたいので、バランス感覚を持って、まだ見ぬ自分に出会っていきたいです」
映画「プラド美術館 驚異のコレクション」は4月10日から全国公開。
(オトナンサー編集部)
コメント