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上野樹里、川口春奈、広瀬すず…「末っ子女優」最強説を検証する!

末っ子は「したたかなアイドル」

 また、兄弟姉妹の定義として、2人きょうだいの下の子も末っ子に含まれます。同性同士で同じものに取り組むと、下の子の方が大成するケースが目立ちます。

 スポーツ界では特に顕著で、例えば、テニス選手の大坂なおみさんには1歳半上の姉がいて、先にテニスを始めていました。それ故、「毎日負けたことに怒って、明日は勝ってやると挑戦し続けていました」と、上達したコツを振り返っています。

 女優の場合でも、姉が先に芸能活動を始めていたケースが珍しくありませんし、姉が果たせなかった夢を代わりに託そうとすることもあります。新垣結衣さんは、2番目の姉の勧めで雑誌「ニコラ」のモデルオーディションに応募しました。「私はもう(年齢的に)できないから」と言われたそうです。

 そして何より、末っ子は「かわいい」という褒め言葉を浴びやすい存在です。そのポジションを要領よく演じることもうまくなったりします。「不機嫌な長男長女・無責任な末っ子たち」を書いた心理カウンセラーの五百田達成さんは、末っ子を「したたかなアイドル」と呼びました。

 そんな末っ子のアイドル性は、フィクションにおいても強調されています。例えば、19世紀米国の作家・オルコットが4姉妹を描き、映画やアニメにもなった「若草物語」。四女のエイミーはおませでおしゃれで、鼻を高くしようと洗濯バサミでつまみながら寝たりします。

 かと思えば、史実を生かしつつ、末っ子らしい魅力を浮き彫りにしたのが2011年の大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」でした。ヒロインは戦国時代を彩った「浅井三姉妹」の三女・江。演じたのは、前述の通り、自身も同じ3姉妹の三女である上野樹里さんです。

 気が強く、自由奔放なキャラで英雄たちと渡り合い、将軍の妻、そして将軍の母となるヒロインは、まさにハマリ役でした。一方、長女・茶々は繊細で責任感が強く、いかにも姉らしい性格。天下人の妻となって世継ぎを産みながら、時代の変化に翻弄(ほんろう)され、最期は自害します。こちらは宮沢りえさん(一人っ子、ただし、異父弟がいるとの報道も)が演じ、上野さんとのコントラストが絶妙でした。

 なお、既に触れたように、末っ子の定義では、2人きょうだいの下の子も含まれます。そうなると、石原さとみさんや綾瀬はるかさん、長澤まさみさん、吉高由里子さん、有村架純さん、多部未華子さん、安藤サクラさん、白石麻衣さん、西野七瀬さんといった顔ぶれも末っ子女優に分類されます。

 とまあ、活躍著しい末っ子女優ですが、もちろん、長子女優にも、中間子女優にも、一人っ子女優にも、それぞれの魅力があります。NHK連続テレビ小説「スカーレット」で3姉妹の次女・直子を演じている桜庭ななみさんは、姉と弟に挟まれた中間子です。本人いわく「私も真ん中で次女で、直子に似ている。楽しくやっています」ということで、自身の生い立ちを芝居に生かしているようです。

 そんなフィクションと現実について思いを巡らせ、“姉妹型”に注目しながら作品を見るのもおすすめ。ドラマや映画がますます楽しくなることでしょう。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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