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限度の週28コマから29コマへ 小学校が直面する授業時間の問題と休校要請

過労死ラインまで努力しているのに…

 そうして「脱ゆとり」と呼ばれた現行の指導要領(2008年改訂)の全面実施に入るわけですが、学校現場からは「教科書をこなすだけでも精いっぱいだ」という嘆きの声がよく聞かれるようになりました。小学校でさえ、3割の教員が過労死ラインを超えて勤務しているという実態も、文科省の2016年度調査で明らかになりました。

 それでも、2018年度の段階で、例えば小5で標準の年間980単位時間に対して1086単位時間以上、つまり週3コマ分超過している授業を計画する小学校が4分の1に上っていました。

 4月から小学校で全面実施となる新しい指導要領(2017年改訂)では、英語が教科化されるのに伴って3~6年生で標準時数が35単位時間増やされ、総授業時数は4年生以上で年間1015単位時間になります。週当たり29コマとなる計算です。

 しかし、現行指導要領の段階から「週28コマが限度」(2008年1月の中央教育審議会答申)とされており、各小学校では新指導要領の下で35時間分の授業をどこで増やすか、知恵を絞らなければなりません。

「学校の働き方改革」の必要性もあって、標準を上回りすぎた時数を削減しつつ、新指導要領を先取りする形で子どもたちに将来を生き抜く「資質・能力」を身に付けさせなければならないという、困難な課題に取り組んでいるところでした。そんな折、首相から本年度の授業を打ち切るよう要請があったわけですから、混乱は必至です。

 現在、中教審では標準時数の在り方も含めた議論が行われています。新指導要領では、「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」も問われます。これまでの学校の努力に見合った教育施策が求められます。

(教育ジャーナリスト 渡辺敦司)

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渡辺敦司(わたなべ・あつし)

教育ジャーナリスト

1964年、北海道生まれ、横浜国立大学教育学部卒。日本教育新聞記者(旧文部省など担当)を経て1998年より現職。教育専門誌・サイトを中心に取材・執筆多数。

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