オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

新型コロナウイルスによる「肺炎」予防、インフルエンザと同じで大丈夫?

新型コロナウイルスによる肺炎の予防法として、通常のインフルエンザの予防と同じ対策を取ることが言われています。同じ対策で大丈夫なのでしょうか。

「購入は1人各種2点まで」と書かれた薬局のマスク売り場(2020年1月、時事通信フォト)
「購入は1人各種2点まで」と書かれた薬局のマスク売り場(2020年1月、時事通信フォト)

 連日、新型コロナウイルスによる肺炎のニュースが報道されています。1月28日、中国・武漢への渡航歴がない日本人の感染が初めて確認され、厚生労働省は1月30日、国内で人から人への感染が認められたと発表しました。「自分も感染するかもしれない」と不安になる一方、「まさか自分は感染しないだろう」と思い込んで不安を鎮めようとする人もいるのではないでしょうか。

 同省は「通常のインフルエンザの予防と同じ対策をしてほしい」としていますが、同じ対策で大丈夫なのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

ウイルス潜伏期間は14日程度か

Q.新型コロナウイルスによる肺炎の症状や特徴を教えてください。

市原さん「発熱やせき、呼吸が苦しい、筋肉痛や倦怠(けんたい)感など風邪に似た症状が主です。厚生労働省のホームページによると、ウイルスの潜伏期間は現在のところ明確ではありませんが、14日程度ではないかとされています。潜伏期間にも人から人への感染が起こる可能性もあるとされていますが、治療法が確立されておらず、発症時は対症療法で対応します」

Q.厚労省は新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を防ぐため、「通常のインフルエンザの予防と同じ対策をしてほしい」と伝えています。この予防法で大丈夫なのでしょうか。

市原さん「現段階では、同じ予防法で対応してください。新型コロナウイルスは、インフルエンザウイルスと同じく飛沫(ひまつ)感染、または接触感染するといわれているからです。そのため、インフルエンザと同じ対策をすることになります」

Q.国内で人から人へ感染したとみられることで、対策が変わってくるのでしょうか。

市原さん「1月28日、国内で人から人へ感染した事例が確認されました。今のところ、武漢にいた人からの感染が考えられ、インフルエンザのように誰から感染したのか分からない状態ではないので、過度に心配する段階ではないと思います。私たちにできることは、手洗い、うがい、マスクなどの基本的な予防策です」

Q.風邪やインフルエンザの予防では、室内の換気を頻繁に行うことも予防法の一つと聞きます。換気を頻繁に行うことは有効なのでしょうか。

市原さん「『室内の換気が新型コロナウイルスにも有効』と一部では言われているようですが、間違いです。インフルエンザや風邪は空気感染するものではなく、ウイルスが空気中を漂っているわけではありません。

新型コロナウイルスも飛沫感染や接触感染で発症するといわれているので同様です。換気で空気中のウイルスの量が減り、感染リスクが下がると思われがちですが違います。ただ、換気をすることで適度な湿度を保つという意味では、大事かと思います」

Q.新型コロナウイルスによる肺炎の予防に、湿度は関係するのでしょうか。

市原さん「一般的に、風邪やインフルエンザなどのウイルスは湿度に弱く、逆に乾燥していると感染しやすくなります。新型コロナウイルスに対しても、同様に適度な湿度を保つことが大切です」

Q.GMOインターネット(東京都渋谷区)が、感染予防のためにほとんどの社員を在宅勤務にするなど、一部企業でも感染予防の対策を実施、または検討している企業も出現しています。現段階では、通常通り出社して勤務しても問題ないのでしょうか。

市原さん「現段階では通常通りに出勤し、普段通り生活して大丈夫です。もし、外出を控える必要があるほどに感染が広まっている、あるいは広まる可能性があるとすれば、国から指示があるので待ちましょう」

Q.政府は、新型コロナウイルスによる肺炎を「指定感染症」としました。この決定には、どのような意味があるのでしょうか。

市原さん「さまざまな感染症は感染症法により、1類感染症から5類感染症まで分類されており、それぞれの分類によって届け出の必要性や診察する医療機関が違うなど対応が異なります。

指定感染症は、新たな感染症をこの分類のいずれかに一時的に含めることで、患者を強制的に入院させたり、就労させなかったりして、行動制限をかけて感染を広めることを防ぐ目的があります。今回の新型肺炎は、重症急性呼吸器症候群(SARS)などが分類されている2類感染症に相当するとみなされ、患者の強制入院などが可能になります」

Q.今回の新型コロナウイルスによる肺炎に関しては、通常の感染症の予防法を徹底すれば、そこまで神経質にならなくても大丈夫ということでしょうか。

市原さん「現在分かっている情報では、通常の感染症の予防法を徹底するしかないでしょう。インフルエンザも流行していますので、感染症の基本的な予防策を徹底することが大切です」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

コメント