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派手さと渋さ シロでもクロでもある魅力で、パンダ女優・清野菜名は笑う

「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」で、派手なアクションとネガティブな囲碁棋士を演じ分ける、清野菜名さん。この二面性はまさに“パンダ女優”と言えるかもしれません。

清野菜名さん(Getty Images)
清野菜名さん(Getty Images)

 日本テレビ系日曜ドラマといえば、昨年、連続ドラマ「あなたの番です」が話題になった枠です。現在は「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」が放送されています。

 そこで「ミスパンダ」を演じているのが、女優の清野菜名さん。白髪のウィッグに黒のアイマスクという扮装(ふんそう)で、悪を裁きます。「飼育員さん」こと横浜流星さんとのダブル主演で、両者ともアクションには定評があり、1月5日に放送された同ドラマの「秘密徹底解剖SP」では、こんなやりとりが展開されました。

 ドラマの見どころについて、横浜さんが「これはもう、清野さんの、ミスパンダのアクション!」と言えば、「いやいや」と両手で横浜さんを指し示し、そちらの方こそ的なアピールをする清野さん。その上で、

「2人でアクションシーンも今後あると思うので、2人でやっている意味がある、バディー感がすごく出るのを期待しています。私自身も」

 と、彼女は語っていたものです。

 しかし、このドラマで彼女が披露しているのはアクションだけではありません。ミスパンダには「川田レン」という本来の顔があり、そのキャラはネガティブな囲碁棋士というもの。この“二面性”を演じ分ける上での表情の作り方などが絶妙なのです。

 そして、この二面性こそが「女優・清野菜名」の真骨頂といえます。

「派手さ」と「渋さ」、「イマドキ」と「古風」の二面性

 2018年の日曜ドラマ枠で放送された「今日から俺は!!」では、聖子ちゃんカットとセーラー服でキレッキレの格闘シーンを演じました。また、アース製薬「モンダミン」のCMでの、キスシーンを巡って駄々をこねてから一転OKするツンデレ女優ぶりも印象的です。

 そして何より、彼女には帯ドラマ「やすらぎ」シリーズ(テレビ朝日系)での活躍があります。2017年の「やすらぎの郷」では、石坂浩二さん扮する老脚本家を翻弄(ほんろう)する女子大学生の役でした。昨年4月から放送されている「やすらぎの刻~道」には、2つの役で登場。太平洋戦争前後を描いたパートでの、なぎなたが得意な少女しのと、平成パートでの、その孫にあたるしのぶです。

 ちなみに、このシリーズは「北の国から」(フジテレビ系)などで知られる現在85歳の脚本家・倉本聰さんが、ベテランの役者たちを中心に物語を構築している異色の力作です。最近のドラマやテレビ、社会への批評性にあふれたこの作品の中で、彼女はヒロイン、いや、ミューズともいうべき存在を担っています。倉本さんの理想とする女優像や女性像が託されているのです。

 というように、清野さんには最先端のかっこよさで圧倒するとともに、不思議な懐かしさで安らぎを与えるという力があります。すなわち「派手さ」と「渋さ」、あるいは「イマドキっぽさ」と「古風な感じ」という二面性を併せ持つ存在なのです。

 もちろん、女優には二面性がつきものですが、それがここまで際立っている人はなかなかいません。まさに「シロ」と「クロ」とのメリハリがくっきりとしているという意味で「パンダ女優」とでも呼びたいところです。

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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