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吉岡里帆が“田中みな実”になるとき 芝居の神様は、女性の嫉妬を憧れに変える!

マイナスはプラスに変えられる

 しかし、本人は演劇や映画が大好きで芸能界に飛び込み、バイトをしながらの下積みを経てここまで来ました。もっと芝居そのものに注目してほしいというところでしょう。

 そんな葛藤は、一時期の田中みな実さんにも通じる気がします。こちらも、報道志望なのにぶりっ子キャラで注目され、そのズレに苦しんだようです。吉岡さんとは、男性ウケする容姿や正直な発言、ストイックな自分磨きといったところも似ています。

 そういう意味で、田中さんが今、女性に憧れられる存在になったようなことが、吉岡さんにも起きる可能性があります。そのカギは何なのか。実は、そこに魔法はありません。芸能人として結果を残し続けることが、反感を「あの人、やっぱりすごい」というリスペクトに変えるのです。

 過去には、松田聖子さんや川島なお美さんもそうやって同性にも認められる人になっていきました。芸能界とは「絶対値」の世界で、マイナスはプラスに変えられます。怖いのはむしろ、無関心なのです。

 吉岡さんも、そのあたりはよく分かっているようで、こんな発言をしています。

「私はそもそも自分の中に嫌われる要素があるなと思っていて。そういう部分はちゃんと受け入れて、それでも皆さんに真剣に作品を届けたいと思っているので。嫌われても、私は作品を見てくださる方が好きだから。(中略)失敗する、嫌われるかもしれないと思っていてもやる。そういうことを生きていく上で大事にしたいんだと思います」(BuzzFeed Japan)

 これこそが、多様な仕事を精力的にこなす理由なのでしょう。根っからの芝居好きである彼女にはきっと、芝居の神様がさらに大きなご褒美をくれるはず。そんな気がしてなりません。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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