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吉岡里帆が“田中みな実”になるとき 芝居の神様は、女性の嫉妬を憧れに変える!

「ちびまる子ちゃん」“10週連続ゲスト声優まつり”でトリを飾る吉岡里帆さん。「嫌われる要素がある」と自認する彼女ですが、批判的な声は支持に変えられると筆者は見ます。

吉岡里帆さん(2019年1月、時事通信フォト)
吉岡里帆さん(2019年1月、時事通信フォト)

 アニメ「ちびまる子ちゃん」(フジテレビ系)では現在“10週連続ゲスト声優まつり”が行われています。12月15日に迎えるフィナーレでトリを飾るのは、女優の吉岡里帆さん。12月8日の次週予告では、

「マイクを持って、道でガサゴソ。ちょっと不思議な旅人として登場します。その正体は?」

 とあいさつしました。これについて、SNS上では「未来のまる子を車のCMでやってたよね」「空青思い出す」「神回決定」といった声が。昨年、ダイハツ「ミラ トコット」のCMで大人になったまる子を演じたことや、今年公開のアニメ映画「空の青さを知る人よ」でヒロインを務めたことなどから、期待が大いに高まっています。

 しかも、ちらっと紹介された映像には、さくら家のお茶の間できつねうどんを一緒に食べる場面が。吉岡さんが「どんぎつね」に扮(ふん)している日清食品「どん兵衛」のCMを連想させる趣向です。

男性は「かわいい」、女性は「あざとい」

 とまあ、何かとワクワクさせる展開なのですが、彼女の仕事の引き出しはこれだけではありません。前出の「空青」で芯の強い古風な姉を演じたかと思えば、ほぼ同時期のR指定映画「見えない目撃者」では、視力を失いながら事件を追う主人公という難役をこなし、今期の連続ドラマ「時効警察はじめました」(テレビ朝日系)では、自由な新人刑事に扮しました。

 何しろ作品数の多い人なので、どの作品を見たかによってイメージも変わってきます。ただ、その中でも強烈なのは、それこそ誰もが目にしやすい前出のCMキャラクター「どんぎつね」の印象ではないでしょうか。

 そして、こうした状況はもしかしたら、彼女を少し憂鬱(ゆううつ)にさせているかもしれません。「空青」のパンフレットでこんな発言をしています。

「最初は、私自身の顔が声からイメージされてしまうと邪魔になると思ったので、普段とは全然違う声で演じてみたいと監督にお話をしたんです。それに対して監督は(中略)普段あなたが使っている声で、しっかり感情を乗せて演じてほしいと言ってくださって。その言葉が、私のお守りになりました」

 声優をやる場合、演じ手の顔を忘れさせるほど役になりきるのが基本でしょう。しかし、それとは別に彼女は、自分の顔が浮かんだら映画を見たくなくなる人もいるのでは、という不安を抱いていたように思わされました。

 というのも、彼女は過去にしていたグラビアを巡る発言で、批判を浴びたことがあるのです。

「初めは戸惑いもあったけれど、グラビアの仕事ができて、今思うとすごく感謝してて、この仕事をしてる人たちにリスペクトがあるという話をしたのに『嫌だった』ということばっかりバーッと書かれてしまって」(文春オンライン)

 もともと、彼女は男性ウケのいいタイプで、女性からは逆に嫉妬をされやすいように思えます。

 ブレーク作のNHK連続テレビ小説「あさが来た」で演じた眼鏡女子とは裏腹の「ナイスバディー」の持ち主。そんなギャップも、男性には「かわいい」、女性には「あざとい」につながるわけです。

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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