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黒幕は誰だ? フィナーレ近づく「最愛」に視聴者がくぎ付けの理由

放送開始以降、さまざまな考察が飛び交い、物語の結末が大きな注目を集めているTBS系連続ドラマ「最愛」。その人気の理由は何でしょうか。

吉高由里子さん(2014年1月、時事通信フォト)
吉高由里子さん(2014年1月、時事通信フォト)

 物語も大詰めを迎え、クライマックスに向けて盛り上がりを見せているTBS系連続ドラマ「最愛」(毎週金曜 後10:00)。主演を務める女優・吉高由里子さんの他、松下洸平さん、井浦新さん、薬師丸ひろ子さん、及川光博さんら実力派俳優の共演も注目を集めています。

 また、プロデューサーを新井順子さん、脚本を奥寺佐渡子さんと清水友佳子さん、演出を塚原あゆ子さんが担当、2017年4月期に放送されたドラマ「リバース」の制作陣が再集結して制作していることでも話題になっています。

 同ドラマが支持を得ている理由について、テレビドラマに詳しいライターの中村裕一さんに聞きました。

冒頭のモノローグに注目?

 同ドラマは、殺人事件の重要参考人となった実業家・真田梨央(吉高さん)と、梨央の初恋の相手であり、事件の真相を追う刑事・宮崎大輝(松下さん)、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎(井浦さん)の3人を中心に、15年前の失踪事件から現在の殺人事件へとつながっていく謎に迫る、サスペンスラブストーリー。

「まず、第1話の冒頭で、ドラマ全体のクライマックスを持ってきている点が何より秀逸でした」と中村さんは話します。

「激しい雨が降る中、警官に連行された梨央が血に染まった右手で、顔に血が付くこともいとわず、長い髪をかき上げるシーンに思わず息をのみました」(中村さん)

「吉高さんのりんとした、それでいて、どこか悲しみを帯びた表情のファーストインパクトに、きっと、多くの視聴者がいきなり、心をわしづかみにされたのではないでしょうか」

 加えて、人気を集める理由の一つにキャスト陣の演技力の高さが挙げられると中村さんは評します。

「吉高さん演じる梨央の、自転車に乗って楽しそうに坂を下る高校時代の姿と、真田ウェルネスの社長として出社する姿はほとんど、別人のオーラと言ってもいいほどの変貌ぶり。大輝や弟・優にだけ見せる屈託のない笑顔も、暗く重いストーリー展開の中で救いの光のようにも見え、その絶妙な緊張と緩和、演技のコントラストが見る人を引きつけてやみません」

「さらに、大輝を演じる松下さんは刑事役ということもあり、たくましい表情を毎回見せていますが、魅力的なのが“声”です。少しハスキーな、それでいて、しっかり通るあの声に毎回、聞きほれている人も多いのではないでしょうか。シンガー・ソングライターでもある松下さんの真骨頂とも言えるでしょうし、今作が彼の代表作になると言っても過言ではありません」

 また、各話冒頭のモノローグも注目の一つと中村さんは話します。

「細かいところではありますが、毎回、異なる登場人物のモノローグで始まる演出も心憎いです。第1話が大輝で、その後、梨央、加瀬、後藤(及川さん)、優(高橋文哉さん)、再び、梨央、しおり(田中みな実さん)、第8話は登場人物によるモノローグがなく、第9話は梓(薬師丸さん)が務めましたが、この順番がドラマの展開を暗示しているのかもしれないと思うと、がぜん、作品世界に引きこまれていきます」

 中村さんは最終回に向けて、大きな期待を寄せています。

「梨央自身にもまだ何か、隠された謎や秘密があるのではないかと考えられますが、来るべき最終回には、タイトルの『最愛』にある通り、それぞれの登場人物が最も愛する人は誰なのか、最愛の人のために何をするのか、何をしたのかが私たちの前に示されると思います。複数の人物が命を落としている以上、単純なハッピーエンドでは終わらないかもしれませんが、一筋の希望を見いだせるような結末に期待せずにはいられません」

(オトナンサー編集部)

中村裕一(なかむら・ゆういち)

ライター

Yahoo!ニュース個人エンタメオーサー。主な執筆媒体は「マイナビニュース」「週刊SPA!」「日刊SPA!」「女子SPA!」「フジテレビュー!!」「テレ朝POST」「AERA dot.」など。テレビドラマをはじめ、エンタメ関連のインタビューや記事を手掛ける。ツイッター(https://twitter.com/Yuichitter)。

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