深津絵里、松嶋菜々子、石田ゆり子…今期ドラマを席巻するアラフィフ女優たち
深津絵里さん、松嶋菜々子さん、宮沢りえさん、石田ゆり子さん、稲森いずみさん…今クールの連続ドラマで、50歳前後の女優たちが存在感を放っています。

物語も後半戦に突入し、クライマックスに向けて盛り上がりを見せている今クールの連続ドラマ。各ドラマのキャストを見渡すと、重要なポジションで50歳前後の女優の起用が目立ちます。
深津絵里さん、松嶋菜々子さん、宮沢りえさん、石田ゆり子さん、稲森いずみさんら、50歳前後の女優たちが今クール、重要なポジションで起用されている背景について、テレビドラマに詳しいライターの中村裕一さんに聞きました。
朝ドラにハマった深津絵里
NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土 前8:00)で、2代目ヒロイン・るいを演じている深津絵里さん。同ドラマは、朝ドラ史上初の、3人のヒロインによって物語が展開していき、昭和、平成、令和の時代、ラジオ英語講座と共に歩んだ祖母、母、娘3世代の姿を描いた100年のファミリーストーリーです。
「2代目ヒロインとして10代の役を演じると聞いたときは、どのような演技をするのか、視聴者にどう受け止められるのか全くの未知数でした。しかし、回を追うごとに作品の世界になじんでいき、いつの間にかそんなことなど気にせず、ドラマを楽しんでいる人も多かったのではないでしょうか」(中村さん)
「それも、ひとえに深津さんの確かな演技力・表現力のたまものであり、セリフを発していないときでも自然と醸し出されるナチュラルで落ち着いた雰囲気は、まさに“癒やし”の領域と言っても大げさではありません。いつまでも変わらない、透明感あふれる輝きが朝ドラに見事にハマっています」
テレビ朝日系連続ドラマ「となりのチカラ」(毎週木曜 後9:00)で、主人公一家の隣に住む女性・道尾頼子を演じている松嶋菜々子さん。同ドラマは、人一倍の思いやりと人間愛を持ちながらも、何をしても中途半端で半人前な男・中越チカラ(松本潤さん)が、同じマンションに住む人たちの悩みを解決し、関係を築いていく姿を描いた社会派ホームコメディーです。
「前クールの『SUPER RICH』でもそうでしたが、松嶋さんの場合、シーンに出てくるだけで目を引く独特な雰囲気があります。それはこれまで『やまとなでしこ』や『家政婦のミタ』など、社会現象にもなった数多くのヒットドラマに出演してきた彼女にしか出せないもので、たとえ出番は少なくとも、ドラマの雰囲気を引き締める大事なアクセントになっているのではないでしょうか」
日本テレビ系連続ドラマ「真犯人フラグ」(毎週日曜 後10:30)で、主人公の妻・相良真帆を演じている宮沢りえさん。同ドラマは、ある日突然、家族が失踪し、殺人犯の疑いをかけられた平凡なサラリーマン・相良凌介(西島秀俊さん)が、真犯人捜しに奮闘する姿を描いたミステリーです。
「宮沢さんの場合、近年は主演作である『紙の月』『湯を沸かすほどの熱い愛』といった映画での演技が印象的。10代でデビューし、CM、ドラマ、バラエティー番組や紅白歌合戦への出場などジャンルを超越して活躍、さらにはヘアヌード写真集などで世間を大いに騒がせた彼女の存在感は、個性的なキャラクターがひしめき合う群像劇の中でも、ひときわ光っており、さすがの一言です」
難しい設定で奮闘、石田ゆり子
TBS系連続ドラマ「妻、小学生になる。」(毎週金曜 後10:00)で、他界した主人公の妻・新島貴恵を演じている石田ゆり子さん。同ドラマは、妻を亡くし、生きる意味を失った元愛妻家・新島圭介(堤真一さん)が、小学生の女の子・白石万理華(毎田暖乃さん)に生まれ変わった妻と奇跡の再会を果たし“生きること”に改めて向き合っていく姿を描いたホームドラマです。
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「難しい設定にも関わらず、女優としてしっかり鑑賞に堪えうるクオリティーの演技を求められていることは間違いありません。時折、貴恵の生まれ変わり・万理華を演じる毎田さんが、石田さんにしか見えなくなる瞬間があります。それだけ、毎田さんの表現力がすごいのですが、もしかすると、石田さんが丁寧に演技のアドバイスをしているのかもしれません」
TBS系連続ドラマ「ファイトソング」(毎週火曜 後10:00)で、児童養護施設「あさひ学園」の施設長・磯辺直美を演じている稲森いずみさん。同ドラマは、主人公・木皿花枝(清原果耶さん)と、変人ミュージシャン・芦田春樹(間宮祥太朗さん)、花枝の幼なじみ・夏川慎吾(菊池風磨さん)が三角関係の恋を繰り広げていくラブコメディーです。
「ヒロイン・花枝が育った児童養護施設の施設長として、彼女たちを応援しサポートする役どころですが、かつては自身がプレーヤーとして恋愛ドラマをリードしてきた稲森さんが、次の世代の恋を見守る立場になったと思うと感慨深いものがあります。『施設長もいろいろ経験して今に至っているのだなあ』というメタ的な視点で見ると、より味わい深く演技が楽しめます」
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