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「日曜劇場」から「大河」へ 小栗旬が日本を代表する俳優へと歩んだキャリア

TBS系連続ドラマ「日本沈没-希望のひと-」を大ヒットに導き、来年1月から放送予定の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で主演を務める小栗旬さん。その魅力について、専門家に聞きました。

小栗旬さん(2019年6月、時事)
小栗旬さん(2019年6月、時事)

 12月12日に最終回が放送、平均視聴率16.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、有終の美を飾った連続ドラマ「日本沈没-希望のひと-」(TBS系)。主演の小栗旬さんは、日本沈没という未曽有の危機に立ち向かう環境省の官僚・天海啓示を演じました。

 来年1月からは主演を務める大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合)が放送予定など、精力的な活動が目立つ小栗さん。その特徴や魅力について、テレビドラマに詳しいライターの中村裕一さんに聞きました。

ブレークのきっかけ「花より男子」

 小学6年生のとき、オーディションに合格して芸能界入りした小栗さんは、1998年に放送された「GTO」(関西テレビ・フジテレビ系)で初めて、連ドラにレギュラー出演。2000年放送のドラマ「Summer Snow」(TBS系)では、堂本剛さん演じる主人公の弟・篠田純役を務め、耳の不自由な高校生という難役を演じて話題を集めました。

 2003年に上演された「ハムレット」で蜷川幸雄さん演出の舞台に初出演を果たし、これをきっかけに、蜷川さんが演出を手掛ける舞台に数多く出演。2005年にはドラマ「花より男子」(TBS系)でF4のメンバー・花沢類を演じ、同作はその後、続編と映画版が製作されるなど作品のヒットとともにブレークを果たしました。

 以降、ドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~」「東京DOGS」「リッチマン、プアウーマン」「信長協奏曲」(いずれもフジテレビ系)や、映画「クローズZERO」「宇宙兄弟」「ルパン三世」「銀魂」などの話題作に出演し、さまざまな役柄を演じてきた小栗さん。「俳優として一般的に多くの人から人気を得るきっかけとなったのはやはり、ドラマ『花より男子』の花沢類役でしょう」と中村さんは評します。

「この頃はまだ、線が細かった印象ですが、年齢とキャリアを重ねるにつれ、演技力、表現力を身に付け、どんどん骨太になって存在感を増し、多くの作品で主演を務めるようになっていきました」(中村さん)

 これまでの出演作の中に、印象的だった作品があると中村さんは話します。

「2014年に主演を務めた『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査4係』と『信長協奏曲』のドラマ2本で、特に『BORDER』は、死者と会話を交わすことができる刑事という難役を見事に演じ、衝撃のラストシーンとともに、最後の瞬間に見せた表情が非常に印象的でした。名作ドラマと言っても過言ではありませんし、同年に公開された実写版の映画『ルパン三世』でも主演を務め、この年は小栗さんにとっても、かなり大きな1年だったのではないでしょうか」

 また、中村さんは小栗さんの人間的魅力についても言及しています。

「小栗さんを語る上で忘れてはいけないのが、人間的魅力です。ドラマ『花ざかりの君たちへ』で共演した鈴木亮平さんを映画『HK 変態仮面』の主演に推薦したエピソードは有名ですし、また、若手俳優の演技力を底上げするために、借金をして、スタジオとトレーニングジムを併設した稽古場を作った話も広く知られています」

「誰よりも芝居のこと、俳優のことを考えている、そんな小栗さんだからこそ、同じような志を持った人たちが集まるのでしょう。その人望の厚さは他にはない、彼ならではの魅力であって、そういった人間的魅力が役を通じて伝わり、多くの人から支持されているのではないでしょうか」

 中村さんは、小栗さんの今後についても大きな期待を寄せています。

「今年公開された『ゴジラvsコング』では念願のハリウッド映画に初進出しましたが、まだ実力を十分に発揮していない印象でしたし、本人もインタビューなどで悔しさを口にしていました。しかし、映画の本場で経験した、さまざまな出来事は大いに刺激になったと思いますし、いつかきっと、リベンジを果たしてくれると期待しています」

「これから先、俳優として一回りも二回りも大きく成長していく小栗さんの姿を見届けたいと思うとともに、日曜劇場から大河ドラマへの連続主演を果たすということは、名実ともに日本を代表する俳優の証し。2022年も小栗さんの演技から目が離せません」

(オトナンサー編集部)

中村裕一(なかむら・ゆういち)

ライター

Yahoo!ニュース個人エンタメオーサー。主な執筆媒体は「マイナビニュース」「週刊SPA!」「日刊SPA!」「女子SPA!」「フジテレビュー!!」「テレ朝POST」「AERA dot.」など。テレビドラマをはじめ、エンタメ関連のインタビューや記事を手掛ける。ツイッター(https://twitter.com/Yuichitter)。

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