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“戦闘系”女子アナ・宇垣美里は、衣装だけでなく人生もコスプレする!

ここじゃないどこかを夢見て生きる

 ちなみに中学時代、吹奏楽部に入った彼女は顧問から、「主役か、脇役、監督に脚本家。あなたはどれになりたいの?」と聞かれ、「誰よりも印象に残る悪役で」と答えたそうです。「ダウンタウンなう」での振る舞いも、ヒールをちょっと演じてみたというところかもしれません。

 そういう意味では、キャスターやMCより、コメンテーター向きといえます。それこそ、小泉進次郎さんと滝川クリステルさんが結婚した際には、

「けんかしたらすごそう」

 と、コメントして話題になりました。

 しかも、彼女の戦場はテレビだけにとどまりません。もともと、独立しても仕事がなければ、パン屋でも営業職でも何でもやるつもりだったといいます。「私にとって仕事は『生きる意味』でもある」(JJ)と言うほどなので、結婚して専業主婦にという展開は当分なさそうですが、フリーアナらしさに縛られるつもりもないようです。

 だからこそ、コスプレやエッセーといった活動にも力を入れているのでしょう。彼女は中学時代、図書室の本を全部読もうとしたほどの読書家で、文才にも並々ならぬものがあります。「私には私の地獄がある」「自分で楽しくしなきゃ死ぬ」などの発言で闇っぽいと評される一面も、エッセーにはこんなふうにつづられています。

「回遊魚のように、止まったらそこで息ができなくなって死んでしまう気がして、いつもここじゃないどこかを夢見て生きている」(クイックジャパン)

 この感覚、分かるという人も多いのではないでしょうか。自分が本当に楽しめることを目指してさまよう日々。彼女の戦いは自分の居場所を見つけるためのものであり、今どきの女性の生き方を代弁しているようにも思えます。

 そんな宇垣さんは、これからもさまざまな顔を見せていくことでしょう。そう、彼女は日々をちょっとでも楽しくするために、衣装だけでなく人生そのものをコスプレするのです。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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