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「女子アナ退社続出」と「各局のアナ積極活用」、矛盾した現象はなぜ起こるのか

民放アナの退社が続々と報じられる一方、各局で、「アナウンサーを積極活用しよう」という動きがあるようです。こうした“矛盾”はどうして起こるのでしょうか。

TBS
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 今年に入って、テレビ朝日の宇賀なつみアナと小川彩佳アナ、TBSの吉田明世アナと宇垣美里アナの退社が次々に報じられています。

「早くも新番組のMC就任決定」「あの番組の新キャスターに就任か」などの続報がある他、「なぜ退社が相次いでいるのか」「テレビ朝日とTBSの事情」などの不穏な記事も少なくありません。

 しかし、ほとんど報じられていませんが、民放各局で「アナウンサーを積極活用しよう」という動きがあるなど、「自局内での需要は高まっている」という事実もあるのです。

「女子アナの退社続出」と「民放各局のアナウンサー積極活用」という矛盾は、なぜ起きているのでしょうか。それぞれの事情を掘り下げていきます。

自由や自分らしさを優先させたい

 女子アナの退社は、確かに以前よりも早くなっています。私自身、各局のアナウンサー本人や番組関係者、さらにはアナウンサーの事情に詳しい芸能記者に話を聞くと、退社の理由は、「結婚がきっかけ」「留学したい」「別の仕事もしてみたい」「忙しさから解放されたい」「収入や待遇に不満がある」「体調不良で療養」など、さまざま。ただ、最も多いのは、「結婚で生活リズムを変えたくなった」からのようです。

 基本的にアナウンサーという職業は、業務の正確性はもちろんのこと、「公私ともにイメージの良さが求められる」「会社員なのに有名で普通の生活がしづらい」などの難しさがあるもの。たとえば、週刊誌の記者だけでなく一般人からも注目される存在のため、会社帰りにお酒を飲む店を選ぶのも一苦労です。

 また、社内でも、「スタッフから使われる」「タレントや先輩社員たちに気を使う立場」であり、「早朝や深夜、土日や緊急時、郊外ロケなどの対応」を求められるなど、世間の人々が思っている以上に地味で過酷。また、「自局内と世間での評価を得られなければ、なかなか希望ジャンルの番組に就けない」「異動でアナウンス業務から外されるかもしれない」「チャンスをフリーアナに奪われてしまう」などの難しさもあります。

 そのため、在京キー局のアナウンサーにも、「ずっと局アナとしてやっていきたい」という人ばかりではなく、「それなりにやっていけるのならフリーになりたい」「別の道を探すことも考えていきたい」「結婚退職して子育てに励むのもアリかな」という人も。名前は挙げられませんが、私の知っているアナウンサーにも、そのような思いを抱えている人がいます。

 ただ、近年変わりつつあるのは、気負いなく退社を選ぶアナウンサーが増えていること。それなりに活躍の場が用意される局アナにしがみついたり、そこでの成功に執着したりすることなく、「フリーでそこそこの仕事とお金がもらえれば十分」「公私ともに自分の自由が欲しい」という声をよく聞くようになりました。世間の20~30代がそうであるようにアナウンサーも、「成功や人気より、自由や自分らしさを優先させたい」という人が増えているようです。

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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