「27時間テレビ」最低視聴率も、社長生出演で示した“バラエティー復活”への思い
「オープンな気風、取り戻したい」
今年8月、筆者がフジテレビのグッズショップに立ち寄ると、バラエティー番組のグッズがほとんどありませんでした。店員にその理由を尋ねると、「最近はドラマとアニメのグッズの売れ行きが好調で、バラエティーの売り場は縮小しています」と言われ、驚いたものでした。
しかし、遠藤社長は「ゴールデンタイムのバラエティーで、ヒット番組を増やしていくこと。バラエティーのメリットは視聴習慣がつくことですから、そうなるともっと様子が変わってくると思います」(「smart FLASH」2019年7月6日掲載)とバラエティー番組を重要視しています。
一方で「慢心と保守性っていうんでしょうか。昔のフジテレビはマネジャーからタレントから放送作家まで、みんなが来てくれた。そうして、いろいろな話ができた。そういうオープンな気風を取り戻したい」(「日刊スポーツ」2019年7月2日掲載)とし、「私にどれだけの媒体価値があるのか分かりません。広告塔じゃないけれど、できるだけ取材も受けさせていただく。番組にも要請があれば出ますよ」(同)とも語っています。
言い換えれば、現在の同局には全体的に“攻め”の姿勢が足りず、演者や裏方が気軽にコミュニケーションを取り合う環境が作れていない、ということではないでしょうか。
遠藤社長は今年8月23日放送のトーク番組「ダウンタウンなう」にも出演。山崎夕貴アナウンサーから「上の世代の人の給料がうらやましいんですけど(給料)何とかなりませんか」と直訴されました。
これに「そんなに給料もらってないんですよ」「フジテレビの全盛期から比べると30%くらい下がっています」と回答。キー局の社長が社員であるアナウンサーから直接、報酬を聞かれる驚きの展開ですが、少しでも社員との距離を縮めたいという遠藤社長の意向がうかがえるシーンでした。
遠藤社長が就任してまだ5カ月。絶好調だった頃のフジテレビに戻すべく、改革はスタートしたばかりです。バラエティー番組の復活に期待し、再び同局が年間視聴率トップに返り咲く日を待つ視聴者も少なくないはず。フジっ子の筆者自身、その日を心待ちにしています。
(ライター・メディア評論家 奥村シンゴ)
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