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コロナ禍でも再放送や総集編に頼らない、日テレのリモートバラエティー術

テレビ各局で「リモート出演」が増える中、LINE風コメント、リモート中継のネット配信、CG技術の活用など、日テレ系バラエティーのさまざまな工夫が存在感を増しています。

「有吉の壁」MCの有吉弘行さん(2015年8月、時事)
「有吉の壁」MCの有吉弘行さん(2015年8月、時事)

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレビ各局では、出演者を自宅や別室から中継する「リモート出演」が増えました。

 そんな中、NHKでは、スタッフと演者が直接対面せず、テレワークで行うドラマ企画「今だから、新作ドラマ作ってみました」の制作を発表。打ち合わせはビデオ会議を利用する他、リハーサル、本番収録はスマートフォンなどで撮影するという斬新な内容です。

 各局のバラエティー番組では、スタジオ収録やロケの中止で再放送や総集編を余儀なくされていますが、日本テレビ系バラエティーでは、リモート出演を逆手に取った演出が、「新しい挑戦しているけど普段と変わらず面白い」「国難時に一番知恵を絞っているのが日テレ」などとネット上で評判です。

 実際、4月第4週(4月20日~26日)の週間世帯視聴率と個人視聴率で「3冠王」を獲得しています。

 ここでは、LINE風コメント、リモート中継のネット配信、CG技術の活用など、随所に見られる日テレ系バラエティーのさまざまな工夫を紹介していきます。

「イッテQ!」グループLINE風のやりとりが称賛

 4月19日に放送されたバラエティー「世界の果てまでイッテQ! 春の2時間SP」では、LINEのグループトークを意識した演出が話題になりました。

 スタジオ収録は、司会のウッチャンナンチャン・内村光良さんが1人で参加。冒頭、「イッテQ!を見て和んでくれたら幸いです。今は大変な時期ですが、忍耐強く、楽しさを見いだしていただければ。何とかこの局面を乗り切りましょう」とあいさつしました。

 一方、他のレギュラー陣は電話出演。トークの模様は単にテロップにするのではなく、LINEのグループトーク画面のように、顔写真のアイコンと吹き出しが画面下から次々と表示されました。

 例えば、イモトアヤコさんがアマゾンへロケに行ってきた旨を説明する際、途中、なぜか吹き出してしまったことに共演者から、「何笑ってんの?」「はしゃいでんの?」と質問が。

「リビングで収録しているので、ふわふわしちゃいますね。(同番組ディレクターの)主人の石崎がいるんですけど」と答えたイモトさんですが、森三中・村上知子さんから、「もしかしていちゃついてんの?」、出川哲朗さんからも「音だけ聞かせて」などとちゃかされる展開に。

 この会話の様子を笑いながら見ていた内村さんですが、最後は「だから深夜ラジオじゃねえって言ってるだろ」とツッコミを入れ、オチをつけたのでした。

 スタジオにレギュラー陣が集合できない緊急事態の中、LINE風の演出によりトークに臨場感が生まれ、長年のチームワークの良さが垣間見えた瞬間でもありました。

 ネット上では「リモートイッテQ最高 在宅の声だけでも面白い」「毎回LINE形式で深夜のラジオ企画入れてほしい」など称賛の声が相次ぎました。今後、新たな目玉企画が誕生するかもしれません。

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奥村シンゴ(おくむら・しんご)

ライター・メディア評論家

東証1部放送局、通信コールセンターの営業・顧客対応を経て、30歳過ぎから認知症祖母の介護を開始し現在7年目(在宅介護6年、今年1月中旬から祖母精神科病院へ入院中)。フリーライター、メディア評論家として活動中。介護専門誌「認知症ケア」「週間女性PRIME」「アゴラ」「みんなの介護」他で執筆中。「30代男性が孫 在宅介護2190日の挑戦」出版予定。年間100記事超掲載・取材、月間90万PV、Yahoo!トピックストップ、SNSフォロワー5500人超など記録。

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