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「ニンジンの皮はむかなくていい」投稿話題、野菜や果物の皮は食べてもOK? 栄養は?

ニンジンは皮をむいてから料理に使うのが一般的ですが、「むかなくてもいい」という男性料理家の投稿が話題になっています。本当でしょうか。

野菜や果物の皮はむかなくていい?
野菜や果物の皮はむかなくていい?

 ニンジンは皮をむいてから料理に使うのが一般的ですが先日、ある男性料理研究家の思い出話がSNS上で話題となりました。付き合っていた女性にカレーを作ってもらった際、ニンジンが皮付きだったことに仰天し、口論になったという内容でした。その後、男性は女性が正しかったことを認め、「ニンジンの皮はむかなくてもいい」と呼び掛けており、SNS上では「皮はむきたい」「むくのが面倒くさい」などの声が上がっています。

 ニンジンを含め、野菜や果物は皮をむかずに食べても問題ないのでしょうか。料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。

ベータカロテンは実の2.5倍

Q.ニンジンの皮をむかずに食べても問題ないのでしょうか。問題ない場合、栄養価の面で、皮付きと皮をむいた状態ではどちらがよいのですか。

関口さん「ニンジンの皮は食べても問題ありません。むしろ、皮に栄養素が多く含まれており、ベータカロテンは実の部分の2.5倍も多く含まれています。泥や汚れはきれいに洗い流した上で、むかずに食べた方がよいです。時間がたつと皮が黒ずむことがありますので、サラダなどを作る際に色が気になる場合は、薄く皮をむくとよいでしょう」

Q.ジャガイモはフライドポテトなどで、皮付きで提供されることもあります。皮付きと皮をむいた状態では、どちらの方が好ましいでしょうか。

関口さん「ジャガイモもニンジン同様、皮ごと食べた方が栄養的には好ましいです。皮にカルシウムや鉄分が含まれるためです。マッシュポテトやコロッケ、サラダのように皮が邪魔をするような場合は、ゆでる際に皮ごと調理することで栄養の損失が少なくなります」

Q.リンゴをそのままかじって食べる人もいますが、やはり、皮付きで食べた方がいいのでしょうか。

関口さん「リンゴも皮にポリフェノールや食物繊維が多く含まれるため、皮付きの方が栄養的には優れています。全ての野菜や果物にいえることですが、皮の部分は紫外線やバクテリアから身を守るため、抗酸化作用や抗菌作用のある『フィトケミカル』という機能性物質を多く含んでいます。ポリフェノールもフィトケミカルの一種です。

また、ペクチンなどの食物繊維も皮に多く含まれています。皮をむいて食べるのは、むしろ栄養素を捨てることになりますので、食べられる皮は食べた方がよいでしょう」

Q.それでは、皮は食べられるものの、極力むいてから食べた方がよい野菜や果物はあるのでしょうか。

関口さん「ミカンなどのかんきつ類や、毛の生えたキウイ、アボカドのような硬い皮、玉ねぎの茶色い皮などを除き、ほとんどの野菜や果物は皮も食べられます。例えば、ダイコンは皮にビタミンCが多く、ゴボウやショウガは皮に香り成分が多いといわれます。ナスは水分がほとんどでビタミンは少ないものの、皮に含まれる紫色の色素が『ナスニン』というポリフェノールで、高い抗酸化力を持つことが知られています。

ブドウも皮にポリフェノールが多く含まれ、皮をそのまま使う赤ワインにはポリフェノールが多く含まれます。皮をむいて食べるのは個人的な嗜好(しこう)ですが、皮には多くの機能性物質が含まれています」

Q.野菜や果物を皮付きで食べるときの注意点はありますか。

関口さん「汚れや泥がついている場合は、野菜専用のタワシできれいに水洗いし、ジャガイモの場合は『ソラニン』という毒素のある芽をしっかり取ってから使いましょう。カボチャの皮にはゴツゴツとした硬いイボが付いている場合がありますが、食感を損ない味的にもよくないため、削いでから使うのがよいでしょう。そのほか、洗っても落ちにくい泥や、くぼみの汚れなどは包丁で取り除いて使います」

Q.皮付きで食べても問題ない野菜についても「皮をむくもの」という認識が広がっているのはなぜでしょうか。

関口さん「調理学の教科書は丁寧に皮をむき、水にさらして白く仕上げたり、パリッとさせたりするなど、見栄えよく調理するという観点で書かれています。しかし、最近は栄養的な観点から、調理法も変化しています。できるだけ丸ごと食べるという『ホールフーズ』の考え方、栄養的な損失を極力減らす調理法など、現代人が摂取しにくくなった栄養素を少しでも取れるようにという意味合いもあるでしょう。

最近では、『ベジブロス』といって、食べるには適さない部分をだしに使って栄養素を抽出したスープが注目されています。野菜や果物に対する栄養的な関心が高まっているのだと思います」

Q.関口さんご自身は普段、ニンジンやゴボウ、ナスなどは皮をむいてから調理しますか。それとも、むかずに調理していますか。

関口さん「できるだけ、食べられる部分は捨てないで使う、あるいは栄養の損失の少ない調理を心がけています。例えば、サトイモのぬめりはゆでこぼすという調理が一般的ですが、ぬめりが大事な栄養分なので皮ごとゆでて閉じ込め、後から皮をむきます。これで、栄養の損失を防ぐことができ、さらにもっちりとした食感もプラスされて一石二鳥です。

春の味覚であるウドは、皮が硬く、厚めにむいて調理しますが、皮は千切りしてきんぴらにすると歯応えのある一品になります。ゴボウもナスも水にさらすといわれますが、さらす必要はありません。色を白く仕上げる必要がなければ、これらのアクもフィトケミカルの一種です。ゴボウもナスもよく洗って皮ごとそのまま調理します。

野菜や果物には水溶性のビタミンが含まれ、切ったものを水に漬けると流出します。目に見えないものだからこそ、見栄えより本質を考えて自然の恵みを頂きたいと思っています」

(オトナンサー編集部)

関口絢子(せきぐち・あやこ)

料理研究家・管理栄養士・インナービューティースペシャリスト

米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー。企業やウェブサイトなどの各種メディアで、レシピやコラム、企画提案などを行う。斬新なアイデアやニーズを捉えた企画が人気を博し、CM用のフードコーディネートやフードスタイリング、商業施設のフードプロデュースなど多岐にわたり活動。「毎日続けられること」をモットーに簡単・おいしい・おしゃれ、かつ美容と健康に直結したレシピを発信。自らの体調不良を食で克服した経験から執筆した著書「キレイになる!フェロモンレシピ」で「食から始めるアンチエイジング」をテーマに、女性が一生輝き続けるための食事法を紹介。セミナーや女性誌の特集で人気を集めている。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/ayako-sekiguchi/)。

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