生放送の“当日発表”に賭けるテレビ局、リスク覚悟で小バズを狙う意味
決勝進出者が明かされていない「キングオブコント2019」、チャリティーランナーを放送中に発表した「24時間テレビ」など、生放送での当日発表が増えています。
9月21日夜、コント日本一を決める「キングオブコント2019」(TBS系)が生放送されます。現在、ファンの間で注目を集めているのは、「誰が優勝するのか」ではなく、「誰が決勝でコントを披露するのか」。決勝進出芸人が、まだ明かされていないのです。
このような生放送での当日発表は「キングオブコント2019」だけではありません。今年は8月24日の「24時間テレビ」(日本テレビ系)で、水卜麻美アナがチャリティーランナーとして走ることを生放送中に発表しました。
さらに最も多いのは、生放送での結婚発表。2月4日の「バイキング」(フジテレビ系)で柳原可奈子さん、4月18日の「モニタリング」(TBS系)で春日俊彰さん、6月30日の「笑点」で春風亭昇太さん、7月24日の「今夜くらべてみました」で藤崎奈々子さん、9月17日の「ヒルナンデス!」で舟山久美子さんが結婚を発表しました。
なぜ、生放送での当日発表が増え、どんなメリットとリスクがあるのでしょうか。
「番組に参加してもらう」ための切り札
生放送での当日発表が増えている最大の理由は、番組をリアルタイムで見てほしいから。
例えば、「キングオブコント2019」は準決勝に残った34組のうち、決勝に出演する10組を予想する声が飛び交っていますし、発表前後はさらにネット上で盛り上がるでしょう。つまり、視聴者に予想してもらうことで小さくバズらせ、「番組に参加している」という感覚を与えて番組を見てもらおうとしているのです。
「キングオブコント」のような“お笑い賞レース”は、そもそも、人生を賭けたガチンコバトルの緊張感がある上に、「M-1グランプリ」(ABC・テレビ朝日系)、「R-1ぐらんぷり」(関西テレビ・フジテレビ系)で、敗者復活芸人を当日発表して盛り上げてきた歴史があるのです。その点、すべての出場芸人を当日発表する「キングオブコント」のインパクトは大きく、実は「昨年の大会でも同様の試みで一定以上の成功を収めた」という実績がありました。
もともと、「謎」や「驚き」を感じさせるコンテンツはネットとの親和性が高く、SNSユーザーの大好物。「絶賛一色」「否定一色」「賛否両論」、いずれになっても盛り上がり、放送中の視聴率が右肩上がりになる可能性を秘めています。
ネットとの親和性という意味で、今年、生放送の醍醐味(だいごみ)と可能性を最も見せてくれたのが、7月21日の「ワイドナショー」(フジテレビ系)。前日に行われた宮迫博之さんと田村亮さんの謝罪会見を受けて急きょ生放送に変わったのですが、制作サイドから十分な事前告知ができなかったにもかかわらず、ネット上の盛り上がりを受けて、わずか半日の間に注目度はみるみるうちに上がっていきました。
視聴率は前週から9.7%アップし、過去最高の16.7%(ビデオリサーチ、関東地区)を記録。この好結果は、松本人志さんや東野幸治さんのコメントを生放送で当日発表したからにほかなりません。
また、このところ、しばしば聞くのは、番組の制作サイドから芸能事務所に「結婚や妊娠などの発表があれば、ウチの番組でぜひ」と持ち掛けていること。あるいは、逆に芸能事務所から「ウチのタレントが○○するので、よろしければ番組で」と持ち掛けるケースもあるようです。結婚や妊娠・出産をSNSで明かすだけの芸能人が多いだけに、生放送での当日発表は価値が高く、今後もこうした演出は続いていくでしょう。
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