お米がおいしい季節! 「新米」をおいしく食べるための研ぎ方&コツをプロに聞いた
「新米」が本格的に出回る季節が近づいてきましたが、よりおいしく食べるには、どのようにすればよいのでしょうか。
新米が本格的に出回る季節が近づいてきましたが、せっかくの新米なので、よりおいしく炊いて味わいたいものです。新米をよりおいしく食べるためには、どのような研ぎ方、水加減、炊き方にしたらよいのでしょうか。長年、炊飯試験を行い、おいしいご飯の炊き方を研究する、アイホー炊飯総合研究所(愛知県豊川市)の平田孝一所長に聞きました。
実は「研ぐ」行為はよくない
Q.新米をよりおいしく食べるには、どのように研げばよいのでしょうか。
平田さん「実は、新米において『研ぐ』という行為はよくありません。新米のときは米質が軟らかいため、研ぐと、お米の細胞壁が破られ米粒の表面がざらざらになり、粒々感と粒離れが消えて食感が悪くなるからです。新米をおいしく食べたいのであれば、やさしく洗うかすすぐだけにし、お米の細胞壁を破壊しないよう注意してください」
Q.新米は、どのような水を使って、どのように炊き上げればよいのでしょうか。
平田さん「水道水でもミネラルウオーターでも大丈夫ですが、できるだけ、カルシウムやマグネシウムが少ない『軟水』を使うことが大切です。日本の水道水は、ほぼ軟水で問題なく使えます。ミネラルウオーターを使う場合、pH(水素イオン濃度)7.3~7.5くらいの軟水がよいでしょう。でんぷんが流れ出ず、米粒の表面が凸凹にならないため、米質がよく絞まった炊き上がりになります。
加水量は、新米のときは米質が軟らかいため、カップ計量で5%引き、重量では10%引きにした方がよいでしょう。あまり沸騰を長引かせずに、炊き上げるのがポイントです。新米は含まれる水分量が多いため、米粒の表面が崩れてしまいます」
Q.ちなみに、お米を研ぐときに使う水について、ミネラルウオーターを使うべきか、あるいは、水道水で大丈夫かという議論があります。どう思われますか。
平田さん「お米を研ぐための水は、水道水で大丈夫です。日本の水道水の大半は、pHが7より若干下回る酸性である場合が多く、洗浄効果としてアルカリ性の水よりも汚れをよく落としてくれるからです。
精白米には雑菌が付着していることがあるので、洗い流すには水道水、または井戸水がよいです。日本の水道水は世界で安全な水として認められています。ただし、配管からさび臭がする場合は避けてください。米は吸着力が強く、臭いがつきやすいからです」
Q.おいしいご飯を炊こうとするとき、浄水器は有効ですか。
平田さん「浄水器の有効性はあります。ただ、フィルターを家庭用で3カ月ごと、業務用では1カ月ごとに取り換えないと効果が落ちます。効果が落ちた浄水器を使ってお米を炊くと、やや苦味があり、味が落ちます」
Q.新米の無洗米を購入したとき、炊き上げる水でどのような工夫をすれば、よりおいしく食べられますか。
平田さん「新米の無洗米のおいしさは、普通の新米より落ちます。旨味成分のアミノ酸を含む糊粉層(こふんそう)が洗い流されてほとんどなく、でんぷんだけだからです。炊飯水はもちろん軟水です」
Q.他にも、新米をおいしく食べるコツがあれば教えてください。
平田さん「精米されている新米は、炊く前に冷蔵庫で冷やしてください。お米が熟成して硬くなり、炊きやすくなります。家庭精米を行う場合、新米を3分か7分づきにして、袋詰めして冷蔵庫に入れます。そして翌日、同じく3分づきをします。
硬くなるような精米をすることで、粒々感、弾力性、粒離れが再現されます。新米は喉越しの粘りが出るので、これら3つをうまく引き出すと、素晴らしくおいしいご飯が炊き上がります。
また、新米の玄米を両手のひらでもみ洗いして、玄米食で食べてもおいしいです。そして何より、炊き上がった新米を温かいうちに食べることです」
(オトナンサー編集部)
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