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妖精と本人…トリッキーな役のオファーがループする遠藤憲一

制作者の間で共通認識となった信頼感

 ただ、「遠藤さんとマネージャーを務める妻が役を選んでいる」というより、「制作サイドからのオファーがギャップを生み出している」という意味合いのほうが大きいとのこと。各局のスタッフにとって遠藤さんは、「今回はシリアスを演じてもらって、次回はトリッキーでいきたい。次々回はまたシリアスをオファーしようかな」と、何周もループしたくなるような俳優のようなのです。

 どこか“遠藤憲一”という名優で遊んでいるようにも見えてしまいますが、制作サイドの頭にあるのは、「エンケンさんならこれくらいトリッキーな役でも大丈夫」「きっと役になりきってくれる」という信頼感。

 単に「コワモテからのギャップ」というだけでなく、どんなに非日常の世界観でもしっかり溶け込んでくれるから、「私のおじさん」や「さすらい温泉」のような思い切ったファンタジー作を企画できるのです。

 シリアスとトリッキーを使い分けることができるのは、俳優としての演技だけでなく、ナレーターとしての声も同様。バイプレーヤーとして「存在感を見せつつ主演を引き立てる」のと同じように、「説得力のある声を聞かせつつ番組の狙いを伝える」から、「IPPONグランプリ」(フジテレビ系)などのバラエティーからも声がかかるのでしょう。

 ちなみに昨年、唯一トリッキーな役だったのは、「遠藤憲一と宮藤官九郎の勉強させていただきます」(WOWOW)。遠藤さんと宮藤さんが「名俳優たちの役作りを勉強する」というコンセプトの超トリッキーなワンシチュエーションドラマでしたが、宮藤さんの「遠藤さんならやってくれるだろうと思った」、遠藤さんの「頭の中はどうなってるんだと感じた」という笑い交じりのコメントから信頼関係がうかがえます。

 前述したように昨年、遠藤さんは多くのシリアスな役に挑んだ分、今年はまだまだトリッキーな役が見られるのではないでしょうか。

(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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