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妖精と本人…トリッキーな役のオファーがループする遠藤憲一

「私のおじさん~WATAOJI~」「さすらい温泉 遠藤憲一」でのトリッキーな役柄が話題の遠藤憲一さん。今冬、トリッキーな役柄が重なった背景とは――。

遠藤憲一さん(Getty Images)
遠藤憲一さん(Getty Images)

 現在、「私のおじさん~WATAOJI~」(テレビ朝日系)と、「さすらい温泉 遠藤憲一」(テレビ東京系)の2作に出演している遠藤憲一さん。「私のおじさん」ではヒロイン・ひかり(岡田結実さん)にだけ見える“おじさんの妖精”役、「さすらい温泉」では温泉宿で働く本人役という、ともにトリッキーな役柄で話題を集めています。

 しかも“おじさんの妖精”は「軽いノリなのに超毒舌」、本人役は「中井田健一という偽名を使って日本各地の秘湯・名湯で“すご腕の男中居”として働く」というトリッキーな設定。どちらも、「もしも○○だったら……」という遊び心のあるファンタジー作です。

 遠藤さんといえば、主演も助演もこなし、シリアスもコミカルもOKの万能俳優。なぜ、今冬はこれほどトリッキーな役柄が重なったのでしょうか。

シリアスが続いた昨年からのギャップ

 昨年、遠藤さんは、「家族の旅路 家族を殺された男と殺した男」(フジテレビ系)では暗い過去を抱える死刑囚・柳瀬光三、「未解決の女 警視庁文書捜査官」(テレビ朝日系)では愚直な刑事・草加慎司、「健康で文化的な最低限度の生活」(フジテレビ系)では生活保護受給者から食堂の店員としてやり直そうとする阿久沢正男、「ドロ刑 -警視庁捜査三課-」(日本テレビ系)では伝説の大泥棒・煙鴉、「西郷どん」(NHK)では勝海舟など、遠藤さんらしいシリアスな役を演じてきました。

 いずれもコワモテの風貌を生かした深みのあるキャラクター。それだけに、今冬のトリッキーな役とのギャップは大きく、話題性は抜群。ただ、遠藤さんは「民王」(テレビ朝日系)でバカ息子と入れ替わってしまった総理大臣・武藤泰山、「お義父さんと呼ばせて」(フジテレビ系)で28歳年下の妻とイチャイチャする大道寺保を演じるなど、これまでもトリッキーな役を演じてきました。

 つまり、遠藤さんのトリッキーな役は、すでにギャップを見せられる強みの一つとして業界内で定着しているのです。遠藤さんは2017年の「タレントCM起用社ランキング男性部門」で1位(12社)に輝きましたが、その多くはトリッキーな役でした。2018年にシリアスな役が続いていたのは2017年からのギャップであり、今年再びトリッキーな役が増えたのも2018年からのギャップなのです。

 遠藤さんがシリアスな役とトリッキーな役を交互に演じている様子が理解できたのではないでしょうか。すでにシリアスな役とトリッキーな役を何周もループしていることが、遠藤さんが名優たる証しとも言えます。

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間30本前後のコラムを寄稿するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアー、人間関係のコンサルタントとしても活動中。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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