映画「ジュリアン」グザヴィエ・ルグラン監督、DVの現実を「何とかしたかった」
映画「ジュリアン」のグザヴィエ・ルグラン監督と主演のトーマス・ジオリアさんにインタビュー。「DV」をテーマに選んだ理由や音の使い方などを聞きました。

映画「ジュリアン」のPRで来日したグザヴィエ・ルグラン監督と主演のトーマス・ジオリアさん。同作は、離婚したジュリアン(ジオリアさん)の両親が、親権を巡って裁判で争っています。父親のアントワーヌ(ドゥニ・メノーシェさん)は隔週末、ジュリアンに面会する権利を受け、ジュリアンを通して母親の連絡先を聞こうとしますがジュリアンはうそをつき続け…というストーリーです。
オトナンサー編集部では、ルグラン監督とジオリアさんにインタビューを実施。「DV」をテーマに選んだ理由や音の使い方などを聞きました。
人間の普遍的な喜びを伝えたかった
Q.フランスで2~3日に1人、DVで女性が亡くなっていることを知って驚きました。DVをテーマにしようと思った理由を教えてください。
ルグラン監督(以下敬称略)「男性の一人として女性に暴力を振るうことは許せないし、現実を何とかしたいと思ってテーマに選びました」
Q.DVや子どもの親権をめぐる問題に関して映画「シャイニング」を参照されたそうですが、スリラー要素を入れようとした理由は。
ルグラン「今回のテーマはDVで重いものです。ジャンルを1つに絞るのではなく、映画としての息遣いを感じる中で、少しでも人間の普遍的な喜びを多くの人に伝えたかったのでこういう形を取りました」
Q.車の音など音響効果が特に効果的でした。
ルグラン「シナリオ段階で音の重要さを表現しようと思っていました。事前調査で女性の声を集めていたのですが、日常の恐怖という言葉が女性の口から出てきました。ご主人が帰ってくるのを待っている女性が、主人の鍵を開ける音で主人の感情が予想できる恐怖、日常の一コマに入る恐怖を理解して表現することに気がつきました」
Q.ジオリアさんがこの映画に出ることになったきっかけは。
ジオリアさん(同)「兄と弟が演劇をやっていて、それを見にいっていました。兄弟の舞台を見ているうちにセリフも全部覚えてしまって、シャイな自分を奮い立たせ、舞台に立って演じたら面白かったです。演劇学校に入り、先生が子役を探しているという話を持ってきてオーディションを受け、ルグラン監督に会いました。シャイな自分が表現できることが分かり出演しました」
Q.現場でのディスカッションは、どんなことを話されましたか。
ルグラン「子役の演技指導をしていた女性が間に入ってくれました。私自身は、他の俳優さんや衣装さんとも話さなければいけないので。子どもとの接し方に慣れている彼女のおかげで、役作りや年に合った言葉など、いろいろとスムーズにできました。撮影ですごく良かったときは自分で褒めましたが…」
Q.お互いの印象をお願いします。
ルグラン「一目惚れでした」
ジオリア「僕も(笑)」
ルグラン「直感的に『彼が主役だ』と分かりましたが、その場で選びはしませんでした。多くの人に会って考えましたが、最初の直感が正しいと思いました。それくらい良かったです」
映画「ジュリアン」は1月25日から全国公開。
(オトナンサー編集部)
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