オトナンサー|暮らしに役立つライフスタイルメディア

  • HOME
  • 暮らし
  • パワハラ社長に憤ってアップした動画に機密が…法的に悪いのは自分?

パワハラ社長に憤ってアップした動画に機密が…法的に悪いのは自分?

ワンマン社長のパワハラに耐えかねた会社員がある日、その証拠を「YouTube」にアップしますが、そこにはビジネス上の秘密事項も含まれていて…。

「いじめ/嫌がらせ」の相談件数は年6万件を超えている

 職場におけるいじめや嫌がらせ、パワハラが年々増えています。厚生労働省によると、2015年度に寄せられた「いじめ/嫌がらせ」の相談件数は6万6566件。6万件を突破するのは2014年度から2年連続のことです。

 この数字はあくまで“表面化”したものに過ぎず、実際ははるかに多くの人が同じ悩みを抱えている可能性があります。「泣き寝入り」や「沈黙」がまだまだ多い、などの指摘もよく目にするところです。

 オトナンサー編集部では今回、日本企業の9割以上を占めるとされる中小企業を舞台に架空のストーリーを作り上げ、パワハラが孕む法的側面の一端をあぶり出しました。

 ワンマン社長のパワハラに耐えかねた社員はある日、その証拠を「YouTube」にアップするのですが…。

パワハラの様子を「YouTube」にアップした社員

 ここでは以下のように人物とその行動を措定します。

――「私は関東の中小コンピューターソフトメーカーに勤務する30代の一般社員。3歳になる1児の父で、5年前に現在の会社に中途入社しました。創業者である現社長はワンマンタイプの人物で社員が異論を挟もうものなら、すぐに大声で罵倒し始めます。入社当時、60人いた社員は2~3年でほぼ半分が入れ替わる状態が続いています」

――「私はこれまで5年間、社長の罵倒に耐えてきましたが先日の会議でついに堪忍袋の緒が切れる出来事がありました。帰宅後、議事録を作成するために回していたICレコーダーの音声データを、社長の実名がわかるタイトルで『YouTube』にアップ。そのデータは私への罵声のほか、社内のビジネス上の秘密事項も含まれていました」

――「アップ後1週間でデータを削除したのですが、仮にアップした状態を社内の人間に見られた場合、何らかの処分を受けることになるのかとても心配です」

1 2

牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。