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「女性はクリスマスケーキ」から数十年…昭和・令和の結婚観「変化と進化」の歴史【結婚今昔物語】

時代とともに移り変わる「結婚」に対する考え方。昭和と令和の結婚観の比較から、“変化と進化”の歴史を見つめます。

昭和と令和の「結婚」こんなに変わっていた…!?
昭和と令和の「結婚」こんなに変わっていた…!?

 結婚は“人生の大きな節目”として、長い間、多くの人々にとって特別な意味を持ってきました。しかし、その価値観は時代とともに移り変わり、昭和時代と、令和時代の現在では、結婚に対する考え方が大きく変化しています。この劇的な変化について、結婚相談所「ツヴァイ」を運営するZWEI(ツヴァイ、東京都中央区)代表取締役社長の中野大助さんは「日本人の価値観が、グローバルな世界標準にシフトした表れ」と分析します。

 昭和と令和の結婚スタイルはこんなに変わった――。そんな“変化と進化”の歴史、背景について、婚活業界を熟知するプロフェッショナルの視点から解説していただきました。

昭和時代:結婚は人生の「型」だった

 2024年12月2日に発表された「ユーキャン新語・流行語大賞トップ10」の年間大賞に選ばれ、時代を象徴するフレーズとなった「ふてほど」。同年1月期の連続ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)の略称ですが、そこで描かれた“昭和的価値観”には、昭和世代にとっては「そんな時代もあったな」と思わず笑ってしまうエピソードが満載でした。

 当時の価値観から、男性側の結婚観をひもといていくと、例えば「婚約指輪は給料3カ月分」。この名言(迷言?)に心当たりがある人も多いのではないでしょうか。昭和の結婚観を語る上で欠かせないこのフレーズは、婚約指輪が「男性の本気度」や「社会的ステータス」を測る物差しのような存在だった時代を物語ります。

 さらに、「3高(高学歴、高収入、高身長)」は女性が結婚相手に求める条件として広まり、男性陣にはプレッシャーそのもの。昭和世代にとっての結婚は、恋愛の延長というより、「人生最大のプロジェクト」だったのかもしれません。

 一方で、女性側の結婚観はというと、「女性はクリスマスケーキ(25歳を過ぎたら売れ残り)」や「腰掛け(結婚までの仮の仕事)」という、今なら間違いなく炎上案件な言葉がまかり通っていました。結婚適齢期を過ぎると、親や職場からの「肩たたき」攻撃が始まり、プレッシャーの嵐が吹き荒れる……今考えると「なんて時代だ」と思いますが、当時はこれが“当たり前”でした。

 そんな昭和的価値観が、令和の現代にどう影響しているのか。次世代の結婚観と比べながら、そのギャップを探ってみると、思わずうなずく「結婚の進化」が見えてきます。

令和時代:多様化する結婚観と現実的な価値観

 令和の現在、結婚に対する価値観は大きく変わりました。「ZWEI」が2024年11月に行った最新の調査によると、婚約指輪については「贈りたい」と考える男性が82.6%と、依然として高い割合を示していますが、予算は現実的な傾向にシフト。最多は「10万〜30万円」(22.1%)、次いで「5万〜10万円」(19.0%)、「1万〜3万円」(18.1%)と続きます。かつての「給料3カ月分」のような固定観念は消え、現実的な予算感覚が主流となっています。

 また、「ジミ婚」という言葉が広く浸透し、身内や親しい人のみを招いた結婚式や、挙式自体を行わない選択をするカップルも増えています。結婚式をしない理由には、「お金を他に使いたい」「派手なことが苦手」という意見が多く、こうしたトレンドを受けて「届け出婚」というシンプルで実用的な結婚セレモニーを提供する自治体も登場するほど。

 かつては、結婚式が人生の晴れ舞台だった時代もありました。しかし今、結婚に求められているのは、「自分らしさ」を重視した現実的な選択。これこそが令和の結婚観の真髄といえます。

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中野大助(なかの・だいすけ)

ZWEI 代表取締役社長

1979年生まれ。横浜市戸塚区出身。神奈川県の中学・高校を卒業後、青山学院大学へ入学。2003年セレブリックスホールディングに新卒1期生として入社。セールスコンサルティングに携わる。2009年グッドラックコーポレーションへ転職。取締役としてリゾートウエディング事業の経営に携わる。日本国内のシェア拡大、東アジア圏のセールスネットワーク開発に成功し、アジアトップクラスの規模へと成長。2019年、IBJへ転職し取締役。2020年のZWEI買収に携わり、コロナ下でのPMI(Post Merger Integration)に集中。2022年からは代表取締役として、後の事業成長をリード。数値化された顧客満足度を軸に改革を進めることに強みを持ち、特に契約率の改善が得意。結婚は26歳の時、一男一女の父。

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