上場企業の“平均給与”、2022年度は「638万円」…4社に1社は「30万円以上アップ」も 帝国データバンク調査
帝国データバンクが、上場企業の「平均年間給与」動向に関する調査結果を発表しました。
過去20年で最高額
調査時点は2023年6月末提出時点。有価証券報告書に「平均年間給与」の記載がある全上場企業を対象としています。なお、持ち株会社などの業態、社員数などで対象を限定しないものです(業種分類は金融庁の定めに準ずる)。
調査の結果、2022年度決算期(22年4月〜23年3月期)における全上場約3800社の平均年間給与(平均給与額)は、638万円でした。同社によると、21年度の624万円より14万円(2.2%)多く、2年連続で前年から増加した他、平均給与額・増加額ともに過去20年間で最高だったということです。また、日本国内の平均給与額である「443万円」より、約200万円高い水準となっています。
2021〜22年度の増減を比較してみると、前年度から平均給与額が「増加」した上場企業は68.9%を占めました。21年度時点の66.7%から拡大し、上場企業でも賃上げの動きが広がっていることが分かる結果となっています。特に、前年度から「30万円以上」増加の割合は25.3%と、全上場企業の4社に1社で大幅な賃上げとなった他、比較可能な04年度以降で最高だったとのことです。
これについて、同社は「輸出企業を中心に円安の追い風を受けて好業績となった企業が多かった他、物価高や人手不足を背景とした賃上げ機運が22年度以降急速に高まったことを背景に、上場企業の平均給与額は近年上昇傾向にある」と分析しています。
平均給与額別では、最も多かったのが「500万円台」で、1059社(27.7%)を占めました。ただ、社数では2020年度以降2年連続で減少しているといい、賃上げなどにより「600万円台」(935社・24.5%)以上に移行した企業もあったとのことです。
「1000万円以上」も、総合商社やM&A仲介、メディア、不動産など134社あり、企業数は過去20年で最も多い結果に。また、全上場企業のうち約9割は、日本国内の平均給与額よりも高い水準でした。なお、同社によると、2022年度の平均給与額が最も高い企業は、M&Aアドバイザリーや仲介業務を手掛ける「M&Aキャピタルパートナーズ」(3161万円、東証プライム)とのことです。
業種別では、前年度から平均給与額が増加した上場企業が多かったのは「運輸・倉庫」(78.4%)でした。同社は「需要が回復している空運・海運業や、人手不足に伴うトラック運転手の賃金上昇が続く陸運業などで平均給与額の増加が相次いだ」とし、「卸売」や「サービス」でも7割以上の企業で平均給与額が増加したということです。
なお、同社が2023年1月、全国約1万社を対象に行った調査では、2023年度にベアや一時金の引き上げを含めた「賃上げ」の意向を表明した企業の割合は、過去最高水準だったとのこと。人手不足などを背景に「労働力の定着・確保」目的の賃上げが約7割を占めた他、従業員の生活支援や物価高騰の影響を受けたものも多かったとし、「上場企業でも優秀な人材の確保は容易でないとみられる中、賃金引き上げなど処遇改善が難しい企業では必要な社員を確保できない可能性がある」と分析しています。
今回の調査結果を受けて、同社は「足元では、業績好調な企業・業界を中心に初任給など給与テーブルの大幅な引き上げや、パート・アルバイトも含めた時給の引き上げに動く企業も出ており、待遇改善で人材を確保する傾向が強まっている」「上場企業の給与水準は日本国内の平均給与額を既に大きく上回っているものの、23年度もさらなる上昇が予想される」とコメントを寄せています。
(オトナンサー編集部)
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