夏バテを予防する「暑熱順化」とは? 医学博士が解説する「温」と「オフ」 “夏バテ経験”が最もある都道府県、1位も判明
リンナイが、医学博士でせたがや内科・神経内科クリニック院長の久手堅司さんが監修した「夏バテに関する意識調査」の結果を紹介しました。
都心で今年2度目の猛暑日を迎えました。夏本番を迎える前から夏バテのような症状に悩む方が多いということです。
リンナイ(名古屋市)が、医学博士でせたがや内科・神経内科クリニック院長の久手堅司さんが監修した「夏バテに関する意識調査」を行い、その結果を紹介しています。
調査は、全国47都道府県別の20~60代の男女2350人を対象に実施されました。「あなたはこれまでに夏バテを感じたことがありますか」という質問に、78%の人が「夏バテ経験あり」と回答したということです。地域別では、群馬と宮崎が90%と同率で最も多く、次いで86%の「千葉」という結果になりました。また、最も少なかったのは64%の「沖縄」でした。
「夏バテ経験あり」と回答した1828人に、「対処法」も聞いたところ、最も多かったのが「冷たい食べ物や飲み物をとった」で63%、続いて「エアコンや扇風機を利用して室温を下げた」で53%、「冷たいタオルや氷で体を冷やした」で34%でした。一方、最も低かったのが「薬を飲んだ」で3%、続いて「仕事・学校・育児・介護を休んだ」で5%、「心地良い音楽を聴きながらリラックスした」が6%という結果でした。
久手さんは、夏バテについて「夏季の高温と多湿に対応できずに起こる不調の事です」と説明。夏バテの対処法については、冷たい食べ物を控え体を温める「温」とストレスを回避して心も体もリラックスする「オフ」が大切だと言います。
夏バテの対処法として挙がった回答について、久手さんは「体を冷やす行為が目立ちました。私たちは空調の効いた屋内と外の温度差によって、寒暖差疲労を起こしやすくなっています。現代の夏バテの症状を改善するには、急激な体温調整によって負荷のかかった自律神経の乱れを整えることが肝心です。温かい食べ物や入浴で体を温め、冷たい飲み物や食べ物、カフェインやアルコールはとり過ぎないようにしましょう」と説明。
続けて「食欲の低下、胃痛、吐き気、腹部膨満感、吐き気、下痢や便秘気味などがあると、胃腸の状態が安定しません。発酵食品も腸内環境を良い状態にします。ヨーグルトやみそなどの発酵食品を、生活中で取り入れましょう。夏バテの症状で多い、だるさ・全身倦怠(けんたい)感には、内蔵・骨盤内のマッサージをお勧めします。また起床時は、体が脱水傾向にあるので、コップ1杯の水か白湯を飲むようにしましょう」と勧めています。
さらに、オフについて「心身の回復に休息は不可欠ですが、日本人は休み下手です。今回の調査でも、夏バテのために、ストレス回避やリラックス、仕事などを休むという回答は限られていました。夏の暑さだけに着目してしまいがちですが、自律神経の乱れが夏バテの症状を悪化させています。睡眠不足や、スマホ、PC使用時間の増加、精神的なストレスなど、自律神経を乱す要因はさまざまです。しっかりと休んで、これらの要因を排除しましょう」とコメントしています。
今年6月に、リンナイが九州大学との共同研究で「週4日以上湯船につかる入浴習慣があれば、発汗量と血流量が上昇しやすいことが認められました。入浴により『暑熱順化』の獲得を促し、熱中症や夏バテしにくい体をつくることが期待できます」と発表しました。
久手さんは、この「暑熱順化」について「人間は体温を36~37℃程度に保つことで健康を維持しています。体内が高温になると細胞が破壊されてしまうことから、体温を下げるために末梢血管を拡げ、それでも下がらなければ発汗し、体の表面から熱を逃がします。人間の身体はよくできたもので、暑さにさらされると徐々に血流量や発汗量を増加させ、熱を逃がす能力を上げていきます。体が暑さに慣れるこの変化を『暑熱順化』と呼びます」と説明しています。
この「暑熱順化」を獲得することが夏バテの予防法につながると話す久手さんは「エアコンの中で過ごすことが多い現代は、夏の暑さに体が慣れる『暑熱順化』が獲得しづらい環境にあります」と語りながら「体に備わっている熱を逃す能力を機能させるためにも、運動によって発汗量や血流量を増加させましょう。ウォーキングであれば30分以上、ジョギングであれば15~20分程度を目安に、汗が出る程度の負荷が望ましいです」と推奨しています。
また、運動ができない場合には「入浴時に湯船につかることで『暑熱順化』を獲得し、夏バテや熱中症予防の効果が期待できます。入浴は、シャワーだけで済ませるのではなく、38~40℃の浴槽に首までしっかりと使って、10~15分程度。深部体温も上がり、血流も改善し、発汗効果とリラックス効果もあります。日頃から夏バテになりやすい方は、特にお勧めです」とコメントしています。
久手さんは、エアコンの上手な使い方についても説明していて「快適な反面、『暑熱順化
』を妨げてしまいます。エアコン以外の暑さ対策グッズも取り入れてみましょう。ただし、暑さで不調を感じたら我慢せずにエアコンを使用してください。特に夜間は、質の良い睡眠で身体を休ませるためにも、最低気温が25℃以上の熱帯夜にはエアコンを使うようにしましょう」と話しています。
また、エアコンの風について「体から熱を奪いやすいので、直接当たらないようにするのがポイントです。設定温度を下げるのではなく、扇風機やサーキュレーターを併用して室内の空気を循環させれば、冷えすぎを防ぎ、節電効果も期待できます。どうしても避けられない職場や外出先のエアコンには、冷えに対応できるよう薄い上着を1枚持つようにすると良いですね」と勧めています。
(オトナンサー編集部)
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