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リーアム・ニーソン、20年間で変わったのは“観客への信頼” 「トレイン・ミッション」主演

主演映画「トレイン・ミッション」のPRで13年ぶりに来日したリーアム・ニーソンさんにインタビュー。作品の魅力や役どころなどについて聞きました。

リーアム・ニーソンさん
リーアム・ニーソンさん

 主演映画「トレイン・ミッション」のPRのため13年ぶりに来日したリーアム・ニーソンさん。同作は、10年間勤めた会社から解雇を宣告された、60歳のセールスマン・マイケル(リーアムさん)が、失意の中いつもの電車に乗っていると、見知らぬ女性ジョアンナ(ベラ・ファーミガさん)から話しかけられます。マイケルはジョアンナから、電車が終点に到着するまでに“ある人物”を見つければ報酬を支払うと言われ、断ろうとするのですが家族を人質に取られ……というサスペンスアクション映画です。

 オトナンサー編集部ではこのほど、リーアムさんにインタビューを実施。作品の魅力や列車の思い出、映画「96時間」シリーズで演じた“最強の男”と今作の“普通の男”との違いなどについて聞きました。

年を重ねてシンプルに演じ始めた

Q.ご自身から見た作品の魅力はどういうところだと思いますか。

ニーソンさん(以下敬称略)「キャラクターも話も魅力的です。これはすべてセラ監督の手腕だと思っています。電車に乗りあった登場人物たちが一人ずつ立体的で掘り下げているから、観客が彼らを見た時に興味を持つし、この人は怪しいかもとか、この人は無実じゃないかとか、いろいろと考えさせられます。それぞれに引かれるところを持っていて、それにより映画が豊かになっているし、良い意味で複雑になっています」

Q.セラ監督とは4作目ですが、他作品との違いを教えてください。

ニーソン「4作目だからといってこれまでと特別な違いはありません。でも、撮影はとても激しかったと思います。閉鎖的な場面の撮影だったので、監督にとって綿密な打ち合わせが必要になり、緻密な準備が必要でした。映画の中では車両は7両で走っていますが、実際のセットでは1両とちょっとで、約95%をそこで撮影しました。毎日撮影が終わると美術さんや大道具さんが翌日の撮影用にセットを変え、エキストラさんの配置したりするので大変でした。撮影のポール・キャメロンが作ってくれた光もスピード感を出させなければいけないし、時間によって光の変わり方も表現しなければなりませんでした。また、動いてる列車に見せなければならないのも大変でした」

Q.列車について何か思い出はありますか。

ニーソン「列車は乗りますが、熱心なファンとかいうことはありません。でも祖父がアイルランドで、蒸気機関車から電車まで50年間運転手をしていました。5~6歳の頃、家族で祖父を迎えに駅まで行った時、当時は蒸気機関車で煙の中から祖父が現れました。蒸気の中から出てくる祖父は、神々しくて雲の間から出てくるゼウス神みたいでした」

Q.今作のマイケルは「普通の男なところが気に入った」とおっしゃっていますが、映画「96時間」シリーズで演じられたブライアンとどちらがおもしろいですか。

ニーソン「『96時間』のブライアンも普通の男です。ただ変わった特技を持っているだけです。普通のキャラクターを演じる方が観客が共感しやすいと思います。親近感がある役だからこそ、見ている人々を良い意味で裏切ったり、だましたりするのが楽しいので、設定的にすごく好きです。普通の人間であるマイケルがヴェラ・ファーミガ演じるジョアンナと出会い、ある人を見つければ報酬を払うと提案され、観客は共感しているからこそ、リアルタイムで自分だったらどうしようと思います。リストラに遭うなどの苦境に置かれているからこそ、お金を受け取る気持ちわかってもらえると思います。物語としては、そのことによって事件に巻き込まれてしまい、解決しなければならなくなってしまいます。演じるのは楽しいし、今回は年齢を理由にリストラされてしまう普通の男ですが、とても高齢というわけではありません。でも、こうしてリストラされることは実世界でもあるし、そういう役を演じられるのは醍醐味です」

Q.お芝居で大事にしていることがあれば教えてください。

ニーソン「年を重ねるにつれてシンプルに演じるようになってきました。最低限のことで最大限の効果を得られるようにします。観客たちは僕と演技のギャップを埋めてくれると信じています。20年前はもっと見せなきゃ、前に出なきゃと思っていました。今は観客がギャップを埋めてくれると信じているので、引いて抑えて演じることができるようになりました。脚本家が書いたセリフであっても、自分の口から出ると言葉が真実になり、キャラクターが言っているんだと観客が信じてくれる。これだけを考えています。それこそが映画における演技の定義だと思っています。役者さんによっては鼻をつけたり、声色を変えたり、顔を変えたりすることでキャラクターを作ろうとする人もいますが、僕はそういう役作りには興味がありません」

Q.今回のアクションシーンは、スタントマンを起用せずにご自身でやっていらっしゃると思いますが、実際にはどうなのでしょうか。

ニーソン「格闘シーンは自分で演じていますが、飛び移るシーンなどは実はスタントマンにお任せしています。別の作品で、共演者が樽に入ったまま転がり落ちるシーンを自分でやるといって『なんて馬鹿なことを言うんだろう』と思いました。その役者に何かあれば撮影は中断し、お金もかかってしまいます。プロのスタントマンに任せるべきというのが僕の役者としてのスタンスです。格闘シーンを自分で演じるのは、それがキャラクターの一部であり、キャラクターの側面を表現するのに役立つと思うからです。どうしてそういう効果があるのかはいまいちわかりませんが。今回のような狭い空間で起きる格闘は親密なシーンだから他の人に任せるのは考えられません。若い頃のボクシングの経験は、自分を律することの大切さや準備の大切さ、相手へのリスペクト、映画ならスタントチームの面々へのリスペクトなどに影響を与えています。こういうシーンを撮影するときは何度もリハーサルをして、目をつむってでもできるくらいに繰り返して体で覚えます。カメラが回った瞬間、初めてアクションしているかのように演じるのが、良いアクションシーンになるカギなのです」

(エンタメチーム)