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「真犯人フラグ」「愛しい嘘」…今期も相次ぐ考察ドラマ、流行させた“犯人”は誰?

秋元康の存在

 というのも、考察ドラマの代表的な仕掛け人に秋元康さんがいます。人一倍、流行とは何かを突き詰め、放送作家、作詞家、プロデューサー、ドラマの原案者などとして、40年以上、ヒット作を生み続けている人です。

 王道も隙間狙いも得意としていますが、考察ドラマについては後者でしょう。1話完結形式の推理モノが長期安定を誇る時代だからこそ、その逆を突いてみたのだと思われます。

 また、筆者が1985年にインタビューした際、当時27歳の彼は「マニアックな人が喜びそうなモノを作っていきたい」と語っていました。「一部のマニアックな人」に「突っ込まれそうなヤツ」をやりたいのだと。彼が企画・原案を手掛ける「あな番」や「真犯人フラグ」はまさしく、ドラマファンにそういう楽しみ方を提供しています。

 そういう意味で、考察ドラマを流行させた“主犯”は、秋元さんなのかもしれません。ただ、それを面白がって考察する人たちがいなければ、流行にはつながりません。ドラマに対して、貪欲に楽しさを求める視聴者と、ドラマの作り手たちとの幸せな共犯関係、それこそがこの流行を成立させているわけです。

 なお、視聴者心理とはとにかく貪欲なもの。謎解き的快感を味わうとともに、最後にズシリと心に残る感動があれば、いうことはありません。そんな考察ドラマの大傑作も見てみたいものです。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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