悪女、キャリア、母親…菜々緒、広がり続ける役柄と築いた独自ポジション
TBS系連続ドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」で存在感を発揮する菜々緒さん。これまでの軌跡を振り返り、その魅力を専門家に聞きました。

放送中のTBS系連続ドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(毎週日曜 後9:00)に出演している女優・菜々緒さん。同ドラマは、最新医療機器とオペ室を搭載した大型車両「ERカー」で、重大事故や災害現場などの緊急事態に駆けつけて救命処置を施す救急救命チーム「TOKYO MER」の活躍を描いたストーリーで、菜々緒さんは「TOKYO MER」の看護師でシングルマザーの蔵前夏梅を演じています。
これまで、悪女、キャリアウーマンの役柄を多く演じてきた一方、今作では、仕事と育児を両立させる母親としての姿が高く評価されている菜々緒さん。その特徴や魅力について、作家・芸能評論家の宝泉薫さんに聞きました。
確立されたポジションをつかんだ女優
菜々緒さんはレースクイーン、モデル業を中心に2009年から本格的な芸能活動を開始。バラエティー番組にも多く出演する一方、2011年放送のドラマ「ウレロ☆未確認少女」(テレビ東京系)で女優デビューを果たし、翌年放送の「主に泣いてます」(フジテレビ系)では、連ドラ初出演ながら主演を務めました。
2014年には「白ゆき姫殺人事件」で映画初出演。同年放送のドラマ「ファースト・クラス」(フジテレビ系)や、翌年放送された「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」(関西テレビ・フジテレビ系)で演じた悪女役が反響を呼び、以後、“悪女”が似合う代表的な女優として、多くの人に認知されるようになりました。
その後、月9ドラマ「好きな人がいること」(フジテレビ系)や大河ドラマ「おんな城主 直虎」(NHK総合)の他、「A LIFE~愛しき人~」(TBS系)、「BG~身辺警護人~」(テレビ朝日系)など数多くの話題作へ出演。今年1月放送の「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」(TBS系)では、超敏腕で冷徹なキャリアウーマンを演じ、その姿が大きな話題となりました。
女優デビュー以降、多くの作品に出演し、抜群の存在感を放っている菜々緒さん。宝泉さんは「女優にシフトする際、バラエティー番組への出演がいい効果をもたらした」と分析します。
「一般の人から見たら、モデルや女優は憧れの雲の上的存在で、親近感を抱きにくい側面があります。しかし、菜々緒さんの場合はモデルや女優業だけでなく、『痛快TV スカッとジャパン』など、バラエティーにも積極的に出演していたことで親しみを持ちやすく、その効果もあって、モデルから女優にうまくシフトできたように感じます」(宝泉さん)
「女優として活動し始めると、バラエティーに出なくなってしまう人もいる中、菜々緒さんはそれが当てはまらず、過去にはコントにも出ていたなど、そんな意外性も魅力の一つでしょう。このあたりが、単なるモデル出身のかっこいい女優という枠に収まらない菜々緒さんの特徴であると思うのです」
宝泉さんは、菜々緒さんの女優としての特徴についても言及しています。
「女優としてのキャリアを順調に重ねつつ、他に似た人がいない、確立されたポジションをつかんでいるように感じます。これまでを振り返ってみると、悪女役を多く演じてきましたが、ものすごく悪者というわけではなく、心の中に優しさを秘めていて、実はいい人というような役柄が多かったように思います」
「悪女役のイメージこそ強いですが、これはあくまでキャラクター。菜々緒さんの、りんとしたルックスや声質から悪女キャラが映えるのであって、こういった役を積み重ねてきたからこそ、今作のような母親役がより際立つのではないでしょうか」
「TOKYO MER」が一つの到達点?
菜々緒さんの「TOKYO MER~走る緊急救命室~」での活躍ぶりについて、宝泉さんは、これまでのベストパフォーマンスと評します。
「大きな反響を呼んだ第3話での菜々緒さんの姿は、これまでの経験が凝縮された彼女のベストパフォーマンスではないでしょうか。これまで、あまりイメージのなかったシングルマザーの役でしたが、その姿が妙に説得力がありました」
「物語序盤と終盤にあった娘を迎えに行くシーンでは、母としての強さと弱さの二面性を、中盤の事件現場での振る舞いでは、かっこいい女性の姿を見せつけ、終始、菜々緒さんの魅力が詰まった回になっていました。シングルマザーでありながら、仕事もできる強い女性を演じ切った今作での姿は菜々緒さんにとって、一つの到達点となったような気もします」
宝泉さんは、菜々緒さんの今後についても期待を寄せています。
「見てみたい設定でいえば、小柄な男性とのラブロマンス作品を期待したいです。『大恋愛』や『101回目のプロポーズ』のような、一見、不つり合いにも見えるカップルを演じてみるのは面白そうですし、菜々緒さんの新たな一面を引き出すことにもなるかもしれません」
「スタイル抜群の菜々緒さんが外見ではなく、内面で引かれていくさまを演じるのは意外と似合いそうな気がしますし、今の時代であれば、受け入れられると思うのです。似合いそうな役は一通りやった印象の菜々緒さんですがこの先、役柄が固定されすぎるのを防ぐためにも一つの方法ではないでしょうか」
(オトナンサー編集部)
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