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「大豆田」でも存在感、石橋静河がヒロイン像を令和型にアップデートさせる!

関西テレビ・フジテレビ系連続ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」で存在感を発揮する石橋静河さん。これまでの軌跡とその魅力を専門家が解説します。

石橋静河さん(2019年10月、時事)
石橋静河さん(2019年10月、時事)

 現在放送中の関西テレビ・フジテレビ系連続ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」(毎週火曜 後9:00)。視聴率だけでは見えにくい、熱い支持のされ方が注目です。

 気の利いたせりふと意表を突く展開で深い人間模様が描かれ、いわば、「クセになる」ドラマ。主演の松たか子さんをはじめ、個性あふれる実力派が顔をそろえる中、26歳の石橋静河さんも存在感を発揮しています。

2世ならではの屈折した思い

 その役どころは、彼氏がいながら、その親友にアプローチするというもの。アプローチされる役は松田龍平さんが演じています。

 ちなみに、松田さんの父は今は亡き名優・松田優作さんで、母は女優・松田美由紀さんですが、石橋さんも両親が芸能人です。父・石橋凌さんはロックミュージシャンで役者としても活躍し、母・原田美枝子さんはかっこいい女優の代表格として、同性ファンの憧れを集めてきました。

 ただし、本人は元々、芸能界志望ではなかったそうです。4歳でクラシックバレエを始め、海外留学を経て、コンテンポラリーダンサーとして活動。そこには2世ならではの屈折した思いがありました。

 インタビュー(女性自身)では、かつての自分について、「映画や舞台からなるべく遠くにいたくて、全然見てこなかった」と告白。しかし、「留学先で初めてちゃんと芝居を見たとき、その面白さに気が付きました」と語っています。その後、オファーを受けて挑戦するうちに、芝居もまた身体表現だと気付き、その魅力にハマっていったようです。

 石橋さんはデビュー3年目の2017年に頭角を現しました。池松壮亮さんとダブル主演した「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」で高い評価を獲得。彼女にとっては映画初主演でしたが、各映画賞の新人賞に輝きました。

 その翌年にはNHK連続テレビ小説「半分、青い。」に出演。佐藤健さんが演じた、ヒロインの幼なじみと結婚する役です。

 この年には、NHK・福岡発地域ドラマ「You May Dream」でドラマ初主演も経験。同名のヒット曲で知られるロックバンド「シーナ&ザ・ロケッツ」のボーカルとして活躍したシーナさんを描いた作品です。ロックミュージシャンと女優のDNAを持つ彼女には、まさにうってつけでした。

 また、2019年に公開された「いちごの唄」では、フリーアナウンサー・古舘伊知郎さんの息子である古舘佑太郎さんとダブル主演。2世同士ということで話題になりましたが、「You May Dream」や「いちごの唄」のような作品が続くと、2世であることがますますクローズアップされてしまいます。

 しかし、彼女は2世だから売れたわけではありません。2世だからという理由でファンになった人も、そんなにいないのではないでしょうか。

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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