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「店内撮影禁止」の店、比較・検討目的の撮影も法的問題あり?

洋服店などに行くと「店内撮影禁止」と書かれた張り紙を見かけることがあります。他店の商品と比較・検討するため、スマホで商品を撮影することも法的な問題があるのでしょうか。

店内撮影禁止の店で撮影、法的問題は?
店内撮影禁止の店で撮影、法的問題は?

 洋服店やスーパーマーケットなどの日用品を販売しているお店に行くと「店内撮影禁止」と書かれた掲示板や張り紙を見かけることがあります。店内で働く特定の店員や来店客が写り込む店内の様子をスマホで撮影することは法的にも問題があるように思いますが、他の店の同じような商品と比較・検討する目的でメモ代わりに撮影することも基本的には禁止されているようです。

 比較・検討する目的で、スマホで商品を撮影することに法的な問題はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

店員の指示には従う必要

Q.店内で働く特定の店員や来店客が写り込む店内の様子をスマホで撮影することは、法的にどのような問題がありますか。

牧野さん「店員や来店客の顔や姿を確認できるレベルで撮影することは、店員や来店客の肖像権の侵害に当たる可能性があり、撮られた人からクレームを受ける可能性もあります。肖像権は他人から、無断で写真や映像を撮られたり、無断で公表・利用されたりしない権利です。著名人が無断で撮影されたり、その画像を無断で公表・利用されたりすることが肖像権の侵害として、よく問題になりますが、肖像権は一般人でも保護されます」

Q.他店の商品との比較・検討という目的で、スマホで商品を撮影することに法的な問題はあるのでしょうか。

牧野さん「他店の商品との比較・検討という個人的な使用目的でも、基本的に法的な問題があります。店内の掲示板や張り紙などで店内撮影が禁止されている場合、もし、スマホで商品を撮影しているところを店員に見つかり、制止された場合、基本的にはその指示に従う必要があります。

店内の張り紙で『店内撮影禁止』が掲示されているだけでは、その張り紙の内容をすべての人が見て同意しているとはいえないので、それだけで、店舗を利用する際の契約違反に問うことは難しいです。しかし、店員から制止された場合、店舗に認められる『施設管理権の適正な行使』とされるので、それに従うことが契約条件となり、基本的には従う必要があるでしょう」

Q.「商品の撮影をしてはいけない」とされているお店で隠れて、商品の撮影をして見つかった場合、店側から何らかのペナルティーを科されるのでしょうか。

牧野さん「店員に1度注意されるぐらいでは、ペナルティーを科されることはないと思いますが、隠れて、繰り返し商品撮影をしたり、店員に何度も制止されてもやめなかったりした場合、お店からの退去を要求されることがあるでしょう。

例えば、『店内撮影禁止・違反者罰金○○円』と、違反した場合には罰金を取ると明示した場合であっても、契約違反で罰金を請求することは難しいでしょう。張り紙に書かれている内容にすべての人が同意しているわけではなく、そもそも、店舗利用の際に違反者の罰金について合意が成立していないと解釈されるからです」

Q.では、店員に「他店の商品と比較する目的で撮影したい」と申し出て、許可を得れば、商品を撮影することは問題ないのでしょうか。

牧野さん「店側に撮影したい理由を伝え、許可を得られたのであれば、商品を撮影することは問題ないでしょう。注意点は、一般の店員やアルバイトスタッフではなく、施設管理責任者である店長に許可をもらうことです。責任者からの許可でないと、後で許可が取り消される可能性があるからです」

(オトナンサー編集部)

牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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