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有村架純「恋に落とす力」を生む明るさ、寂しさの絶妙すぎるバランス

明るさと寂しさ、無限のグラデーション

 一事が万事で、彼女は常に最初からできる気にならず、慎重、かつ丁寧に、演じる役に近づこうとしている印象です。それが自然な芝居、すごいようには見えないのに実はすごいという表現へとつながっているのでしょう。

 そんな有村さんについて、今年大ヒットした映画「花束みたいな恋をした」の脚本家・坂元裕二さんがパンフレットの中で面白い分析をしています。

 彼いわく、「最低限の表情の変化で、あらゆる感情をお客さんに伝えることができる」とのこと。「仕事したことがある作り手はみんな、感情表現のハードルを有村さんがたやすく越えていくことに完敗した思いがあるんじゃないかな」とまで絶賛しています。

 確かに、明るさと寂しさという感情表現についても、その形はさまざまです。明るさと寂しさとは表裏一体だったり、ない交ぜだったり、また、その間には無限のグラデーションが広がっています。そのグラデーションの表現が彼女は抜群にうまいのです。

 それは現代劇のみならず、太平洋戦争の時代を描いた昨年のドラマ「太陽の子」(NHK総合)でもいかんなく発揮されました。2人の男性から思いを寄せられるヒロインの役で、当時の日本女性の古風な強さを見事に表現していたものです。この夏公開予定の同名映画も楽しみです。

 楽しみといえば、これほどまでに恋が似合う有村さんが現実でどんな恋をして、どう結ばれるのかも気になります。公私ともに彼女の「恋に落とす力」から、今後も目が離せません。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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