ボンビー、スカッと、こんくら…なぜ今「リニューアル」が続出しているのか
「幸せ!ボンビーガール」「痛快TV スカッとジャパン」…ゴールデン・プライムタイムのバラエティー番組で「リニューアル」「特別編」が増加。背景を専門家が解説します。

「幸せ!ボンビーガール」(日本テレビ系)がこれまでとは一線を画す「幸せ!ボンビーLOVE~こんな私でも好きになってくれますか?~」を放送して物議を醸しています。同コーナーは、貧乏な男女6人がスマホのやりとりと1度のデートで恋心を育むリアリティーショー。「貧乏」というキーワードこそ変わっていないものの、あまりの変化に戸惑いの声が上がっているのです。
また、「痛快TV スカッとジャパン」(フジテレビ系)も2月22日に「スカッとカラオケ!」、3月15日に「スカッとカジノ」という特別企画を立て続けに放送。これらも通常放送とはまったく異なるゲーム企画であり、ネット上には賛否の声が飛んでいました。
その他、「林修のニッポンドリル」(フジテレビ系)は昨年から、「ギャル曽根の爆食い〇番勝負」というグルメ企画をスタートさせていましたが、このところ、「日清食品インスタント麺売上番付」「最新キッチン家電番付」などにコーナーを拡大。かつてのような、日本語や日本文化を扱うケースはほとんどなくなっています。
さらに「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」(テレビ朝日系)は、飲食を中心にしたランキングクイズを定番コーナーとして強化。「今夜くらべてみました」(日本テレビ系)は「女子の人生 勝手に応援プロジェクト」をスタートさせ、ここまで、井上咲楽さん、小林星蘭さんが変身する様子が放送されました。
週明け3月22日放送予定の「ネプリーグ」(フジテレビ系)も通常のチーム戦ではなく、特別企画としての個人戦。令和の新常識がアップデートされているのかを問う「ネプアップデートリーグ」が放送されるようです。
なぜ今、ゴールデン・プライムタイムで放送されているバラエティーのリニューアルや特別編が増えているのでしょうか。
新番組よりリニューアルを選ぶ背景
まず、前提としてあるのは「コア層と言われる13~49歳の個人視聴率がよほど悪くない限り、基本的に番組を終了させたくない」という民放各局の事情。出演者、スタッフ、セットとそれらにかかる予算などが計算できる上に「新番組で今以上の結果が出せるか」といえば難しいものがあるからです。
加えて、民放各局は昨年からのコロナ禍で広告収入減に悩まされているだけに「よほどローコストで、それなりに結果を出せそうな企画でない限り、新番組にゴーサインを出しづらい」というのがシビアな現実。そのため、「既存番組のリニューアルをしよう」という話になりやすいのです。
また、昨春の視聴率調査リニューアルによって、年代や性別などの「誰が何人見ているか」が明確になったことで「これまで以上にスポンサーのニーズに応えていなければいけない」という状況になりました。中でもスポンサーのニーズが高いのは、前述したコア層の13~49歳であり、この層が見たくなる企画にリニューアルされているのです。
もし、リニューアルがうまくいけば、これまで見てくれていた固定ファンを残したまま、新たなファンを開拓することが可能。新番組にかかる費用を使わずに済む上に、これまで放送してきたコーナーは「休ませることで鮮度がよみがえる」「財産として扱い、時々放送できる」などいいことずくめなのです。
一方、特別企画はいわゆる「パイロット版」に近い位置付けであり、「うまくいったら全面リニューアルする」という可能性を含めたもの。前述した中では、このところ低迷気味の「スカッとジャパン」にそんなムードが漂っています。
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