「天国と地獄」好調を支える演技力、脚本力、そして信頼感
平均視聴率16.8%、14.7%、14.1%と好調に推移するTBS系連続ドラマ「天国と地獄~サイコな2人~」。その人気の理由は何でしょうか。
現在放送中のTBS系連続ドラマ「天国と地獄~サイコな2人~」(毎週日曜 後9:00)。初回平均視聴率は16.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、第2話以降も14.7%、14.1%と高視聴率を維持しています。
主演を務めるのは女優の綾瀬はるかさん。また、脚本は「世界の中心で、愛をさけぶ」「JIN-仁-」「義母と娘のブルース」(いずれもTBS系)など綾瀬さん出演のヒット作を数多く手掛けてきた森下佳子さんが務め、両者が再びタッグを組むことでも話題になっています。
綾瀬さんの他、高橋一生さん、柄本佑さん、溝端淳平さん、北村一輝さんら実力派俳優の共演も注目を集める同ドラマが支持を得ている理由について、テレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子さんに聞きました。
普通の刑事ドラマとしても面白い
同ドラマは、努力家で正義感の強い刑事・望月彩子(綾瀬さん)とサイコパスな殺人鬼・日高陽斗(高橋さん)の魂が入れ替わり、人生が逆転した2人の愛と運命が交錯する展開を描いたオリジナルストーリー。「難しい役どころを演じる綾瀬さんと高橋さんの演技は今作で注目すべきポイント」と田幸さんは話します。
「せりふを発さずとも表情やちょっとしたしぐさで、2人が入れ替わっていることが瞬時に読み取れるような、綾瀬さんと高橋さんの演技力の高さは今作の注目すべきポイントです。片側の口角を上げてニヤリとほほ笑む綾瀬さんの表情、高橋さんの何気ない瞬間に見せる女性的な所作や発声など、2人の演技力は大きな話題になっています」(田幸さん)
「『憑依(ひょうい)』といわれていますが、入れ替わった後も単にそっくりにモノマネをするのではなく、少し強調したり、大げさな演技を取り入れることで、視聴者に入れ替わっていることを分かりやすく示すシーンが多く描かれています。
また、普通であれば、入れ替わったことを周りに悟られないように取り繕いますが、入れ替わった綾瀬さんがわざとばっちりメークをし、『気合いを入れなければと思いまして』などと説明することで小さな違和感をごまかす“積極的な攻め”をしているのも特徴です」
加えて、人気を集める理由の一つに森下さんの脚本力の高さが挙げられると田幸さんは評します。
「視聴者は、綾瀬さんと高橋さんの役が入れ替わる設定だと知った上で見始めているので、この2人がどんなきっかけで入れ替わるのかが初回の注目ポイントでした。ですが、そんな設定も忘れてしまうくらい、第1話から普通の刑事ドラマとして見ても非常に面白いストーリーが展開されていました」
「いずれ、2人が入れ替わると分かっているので、綾瀬さんが高橋さんを追い詰めれば追い詰めるほど自分の首を絞めていくことになるドキドキ感の盛り上げ方と構成のうまさは、さすがの森下さんだなという印象です」
さらに、綾瀬さんと森下さんのタッグの信頼感と「日曜劇場」という枠の安心感も成功の要因の一つといいます。
「これまでの2人の作品を振り返ってみても、外れのない絶対的な実績と、ヒット作を世に送り出し続けている日曜劇場の強み、安心感も成功の理由の一つでしょう。今クールの大本命で放送前から期待値が高いドラマでしたが、見事に結果を出し、視聴率だけでなくドラマの内容も好評を得ています」
田幸さんによると、同じ演者と脚本家が度々タッグを組むことでもたらされる“効果”は大きいといいます。
「今は商品を買うときも食事をするときも映画を見るときも、口コミをチェックする人が大多数ですよね。視聴者側の心理としては『面白いものを見たい』『見る作品を間違えたくない』という気持ちがどうしても強い。その点、今作は綾瀬さんと森下さんのタッグ作という信頼と実績が期待感と安心感を持たせ、視聴者は間違いないと思って見ることができるのです」
「演者、脚本家としてお互いの信頼関係も築かれているでしょうし、どのような見せ方をすれば綾瀬さんが輝くのか、森下さんも熟知されていることでしょう。魂が入れ替わったことで余裕な表情を見せ、どこかミステリアスな雰囲気を漂わせている綾瀬さんの演技が、同じ森下さん脚本×綾瀬さん出演『白夜行』と重なると盛り上がっている視聴者もいて、大きな魅力になっています」
(オトナンサー編集部)
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