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乃木坂46卒業へ “絶対エース”白石麻衣が切り開いた境地、後進に示した道標

乃木坂46の“円熟”を示す象徴的存在

 ところで、昨年末の記事「変化する『乃木坂46』 成熟したアイドルの先にある、新たな“組織体”の可能性」(「オトナンサー」12月30日配信)では、近年の乃木坂46が少女を表象する段階を超えた先にある、「ごく自然に成熟してゆく姿」を体現していることに触れました。このようなアイドルグループとしての円熟を現す象徴的な人物もまた、白石さんでした。

 上記したような円熟を代表する乃木坂46の楽曲が、昨年末の「第70回NHK紅白歌合戦」の曲目にもなった「シンクロニシティ」です。普遍的な感情の共振を歌う同曲でセンターポジションを務め、楽曲披露のたびに立ち現れる美麗な絵面を完成させる中央のピースとして、白石さんのパフォーマンスはあります。

 デビューから幾年もの歳月を重ねて成熟期の表現を手に入れて以降、乃木坂46は社会に最も広く受容され、今日のトップグループとして認知される段階を迎えました。その中で、白石さんは、一方ではグループ全体で創造する作品の顔としてあり続け、他方ではファッション分野を中心とした“外向き”のアイコンとして、アイドルが持つ可能性を開拓する存在でした。

 それだけに、彼女がグループを離れて以降に紡いでいくキャリアは、後進のメンバーにとってこの上なく大切な道標となるはずです。同時に、その一歩一歩は、乃木坂46という組織が、あるいは今日的なアイドルグループが、いかなる表現者を輩出することができるのかを世に示してみせるものでもあるでしょう。

(ライター 香月孝史)

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香月孝史(かつき・たかし)

ライター

1980年生まれ。ポピュラー文化を中心にライティング・批評やインタビューを手がける。著書に「乃木坂46のドラマトゥルギー 演じる身体/フィクション/静かな成熟」「『アイドル』の読み方 混乱する『語り』を問う」(ともに青弓社)、共著に「社会学用語図鑑 人物と用語でたどる社会学の全体像」(プレジデント社)、執筆媒体に「RealSound」など。

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